アメラジアンスクール
広告
昨年9月、沖縄県宜野湾市にあるアメラジアンスクールインオキナワ(AASO)10周年を記念したシンポジウムで、日本にある外国人学校について話した私に、主催者の一人がていした「苦言」が忘れられない。
「朝鮮学校でダブルの子どもたちをどう教えているのかを話して欲しかった」―。
アメラジアンとは、アメリカンとアジアンを掛け合わせた言葉でアメリカ人とアジア人の両親の間に生まれた人たちをさす。米軍基地を背景に生まれた子どもたちのために作られたこのAASOは、5人の母親たちが奮起して建てた手作りの学校だった。
現地に行って驚いたのは沖縄県のみならず、関西や関東からも参加者がいたことだった。
国際結婚が増え、日本でミックスルーツの子どもが増えていることは頭では知っていたけれど、子どもの居場所を日本の学校に探せない背景を持った人が多く存在し、また日本学校ではすくきれないニーズが潜在していることを実感した。
最新の「イオ(4月号)」にもAASOの関係者が文章を寄せてくれているが、日本で唯一、ダブルの子どもを対象としてダブルの教育を提供する、「スクールのユニークさは、そのうち時代が追ってくる」とのくだりには、力強いパイオニア精神が宿っていると感じる。
朝鮮学校にもダブルの子どもは増えている。
まだまだ現場は手探りだけれど、彼らを受け入れるために学校は学校なりに、保護者は保護者なりの努力をしている。苗字の問題から歴史観までその試みは試行錯誤で道半ばだけれど、そこには「日本と朝鮮」という大きな垣根を乗り越えようという思いが横たわっている。(瑛)