ポッポ(祖国訪問記10)
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ポッポと言っても男女が行う行為のことではない。朝鮮語で滝のことを「ポッポ(瀑布)」と言う。妙香山最後の日は万瀑洞コースへ。ポッポが多いことからこの名前がついた。ガイドは昨日と同じキムさんである。
このコースは、歩き始めるとすぐにポッポが現れる。その名も序曲の滝。以下、このコースにある滝の名前を挙げていくと、下武陵の滝、武陵の滝、隠仙の滝、遊仙の滝、温情の滝、飛仙の滝、九層の滝となる(ちなみに、個人が選ぶ妙香山のポッポナンバー1は上元洞にある散珠の滝である)。入口から飛仙の滝まで、けっこうキツイ登りが続く。普通なら問題ないコースだが、昨日の登山で足が疲れきっているので、最初から汗がこぼれる。しかし、うかつにもミネラルウォーターをもってくるのを忘れてしまった。飛仙の滝の上に到着したとき、案内のリさんに、流れている水を飲んでも良いかと何度も確認すると、何度も大丈夫だと言うので、手ですくって飲む。
ガイドブックには飛仙の滝から九層の滝までの1キロの間、ポッポはないと書いてあり、キムさんもそう説明するが、所々にポッポが現れる。日本だったら名前をつけて観光名所にするほどの立派なものである。名前を尋ねると、「チャヨンポッポ(自然の滝)」または「ケジョルポッポ(季節の滝)」と呼ぶのだと教えてくれた。水量が多いときだけ現れる滝だということである。日ごろの行いが良いので、たくさんポッポを見ることができた。この1キロの間は、木々が生い茂り、緑のトンネルのなかを歩く感じですごく素敵だ。秋には紅葉が見事なはず。秋にまた来ようと思う。
九層の滝までを往復するのが一般的な観光コースだが、九層の滝から1キロ離れた檀君祠へ行くことにする。この道はアップダウンがあって、けっこうキツイ。檀君祠は大きな岩の洞窟のなかに埋まるように建てられていて格好いい。すぐ横に水が湧き出ており、さっそく2杯飲む。生き返った。
檀君祠にも、管理員の夫婦が住み生活していた。驚いたのは、ソーラー発電の装置が備え付けてあったことだ。こんなところにも祖国の発展の姿を見ることができた。檀君祠からの眺めがまたよく、遠くの山々が美しい。ガイドのキムさんが「こんな場所で生活したら100歳まで生きるような気がしませんか」と話しかけてくる。その言葉に、人の幸せとは何かと考えさせられる。「ここの湧き水は元気が出る」と言うので、出発前にまた2杯。檀君祠からコースの入口までを1時間10分で一気に下った(k)