ボクシング(祖国訪問記11)
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万瀑洞コースの探索を終え、昼食は妙香川が横に流れる広場でアヒルの焼肉を堪能した。これも妙香山旅行のはずせない楽しみである。
そのときマイクロバスに乗って朝高生たちがやってきた。話を聞くと、大阪朝高と神戸朝高のボクシング部の生徒たちで、インターハイ出場を決めた3名を含む9名が祖国で合宿を行っており、今日は息抜きに妙香山に遊びに来たそうである。生徒たちは食事を終えると、引率している祖国の人たちをつかまえては次々と、服のまま川に投げ入れる。その度にまわりから大きな笑がわきおこる。
妙香山から帰った次の日、合宿の日程を終えた生徒たちが祖国で最後の試合をするというので見にいくことにした。場所は平壌市内にある朝鮮体育大学。様々な競技(オリンピック種目)の専門家を育てているところだという。朝高生たちもここで練習を行っていたそうだ。ボクシングの部屋に入ると、とたんに汗の臭いが鼻をつく。妙香山からものすごい落差である。ちなみに、ボクシングの横はレスリングの部屋で、筋肉隆々の学生たちが汗を流していた。
顔見知りになったのか、朝高生と朝鮮の学生たちが試合の準備をしながら談笑している。大学のコーチの顔を見ると、ボクサータイプ、ファイタータイプといろいろだが、みんないかにもボクシングをやっていますという顔であった。合宿期間中、朝高生たち1人に朝鮮のコーチ1人がついてマンツーマンで指導したそうだ。また、毎朝5時からのランニングを欠かさないなど、懸命に訓練を重ねてきた。その甲斐があり選手たちみんなが実力をアップさせ自信をつけたという。
試合は朝高生と体育大学学生が7人ずつ出場し対戦。結果は朝高生の3勝4敗で、朝高生のケントウが光った。試合終了後にみんなで記念撮影。最後に、対戦した者同士が一緒にストレッチをしながら、また楽しそうに話しているのが印象的だった。
高校時代から祖国を訪問し、専門家から特別な指導を受けられるとは、いかに恵まれていることだろうか。高校時代から目をつぶると頭に顔を思い浮かべられる祖国の人々がいるというのが、本当に羨ましいと思った。7月末に行われるインターハイをはじめ今後の競技で大活躍してもらいたい。(k)