統一通り市場(祖国訪問記13)
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日本にいるときから次に祖国を訪問するときにはぜひ行ってみたい、と思っていた場所がある。平壌にある統一通り市場だ。
いくつか必要なものがあり、統一通り市場へ行くことになった。市場はその名のとおり統一通りにある。建物は思っていたよりも大きく、縦100メートル、横60メートルほどはあるだろうか。広い敷地に隙間なく売り場と買い物客があふれている。大晦日のアメ横のような賑わいだ。人をかきわけるため歩くのに苦労する。
入って左側に魚肉類が並ぶ。鶏が1羽まるごと売られていたり、豚肉が各部位ごとに売られていたりする。特に目を引いたのがタラコの量と質の高さだ。列を右に移動すると野菜、果物、加工食品と続き、建物の真ん中から右側は靴やカバン、日用品や衣服などを売っている。とにかく量と種類が多い。
販売員はほとんどがおばちゃんだ。歩いていると積極的に声をかけてくる。上下のスポーツウェアをまず買う。選んでいると、横のおばちゃんが「こっちの色のほうが良いだろう」としきりに勧めてくる。サイズもいろんなものをどんどん出してくる。そして「はいてみろ」と言う。ひじょうに商売上手で、気の弱いこちらは言われるままに買ってしまった。案内のリさんが交渉して少し値切ってくれる。
帽子を買った後(これも少し値切った)、果物売り場へ。桃を見ていると、おばちゃんが「食べてみろ」と少し切って試食させてくれた。まあ、そうなると気の弱いこちらとしては買わざるをえなくなり、3キロぶん買う。立派なスイカがあったのでそれも買う。両方とも朝鮮産だ。果物を買うときは、リさんは値切らなかった。何か暗黙の了解でもあるのだろうか。とにかく、おばちゃんたちのバイタリティーが新鮮でうれしかった。
桃は日本の感覚で言うと、めちゃくちゃ安い。スイカはそれなりの値段。桃は素朴な味で美味しかった。スイカは大きいのを買いすぎて、食べる機会を逸している。(k)