遊歩道1(祖国訪問記15)
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以前、このブログで、自分の部屋から朝鮮新報平壌支局の事務所に通うのに30秒しかかからないと書いた。日本での通勤時間が1時間10分ほど。満員電車に揺られての通勤地獄を味わわなくてもいいのは本当にうれしい。しかし、問題がある。日本では1日のカロリー消費のほとんどを朝夕の通勤がまかなっていた。30秒の通勤時間ではカロリーはまったく消費しない。ましてや、ホテルの食事が美味しく、また量もけっこう出るので、日本にいるときよりたくさん食べている。これでは脂肪が溜まるばかりだ。深刻な問題だと言わざるをえない。
妙香山での3日間の山歩きで、それまで平壌で溜めていた脂肪を一掃することができたが、またすぐに溜まってしまう。そこで、どうするか。朝、早く起きて平壌ホテルのすぐ横を流れる大同江の遊歩道を、ウォーキングしたり、ジョギングしたりするのである。
この季節、平壌は朝5時前ごろから明るくなる。ホテルの横から遊歩道に降り、チュチェ思想塔の前を通ってちょっと行き止まりになっている所で折り返す。これが決まったコースだ。
早朝にもかかわらず、遊歩道は人が多い。
まず、釣りをする人が50人くらい。釣り愛好家協会というものがあり、そこに入らないと釣りができないらしい。誰でもすぐに入れるのだが。24時間釣っているのではないかと思うほど、いくら早く行っても釣っている。どこにでも「釣りバカ」がいるのだ。
次に、筆者と同じように運動をしている人たち。本格的に走りこみをしている若い人もいるが、ほとんどがのんびりと散歩や体操を楽しんでいる年配者だ。毎朝5時半ごろから現れるのが10人くらいのおばちゃんの集団。祖国の若い女性たちは、みんなスラッとしてスタイルがいい。これは以前と変わらない。変わったのは中年以降のおばちゃんが、日本と同じように、「確かに運動したほうがいいな」と思わせる体格をしていることだ。集団で、膝を上げたと思うと真横にグッと開く健康ウォーキングなどをしている。毎日違うメニューをきちっとこなしており、鉄の規律を感じさせる。
この季節、平壌は夜8時過ぎまで明るいのでひじょうに得をした気分になる。外が明るい間中、遊歩道は市民の憩いの場になっている。大同江の流れのように、祖国では時間がゆっくりと流れるように感じる。(k)