七宝山(祖国訪問記21)
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まずは問題から。上の写真の岩は何の姿に見えるだろうか。
祖国は現在、梅雨の季節である。七宝山には3日間いたのだが、その間快晴の天気が続いた。ラッキーと言うしかない。七宝山は咸鏡北道の明川から東へ25キロほどのところにある。大きく内七宝、外七宝、海七宝の3つの地域にわけられる。1日目に内七宝、2日目に外七宝を見学した。ほとんどのコースを車で回れるので楽ちんである。
妙香山は瀑布が見どころだが、七宝山は峰や岩が見どころだ。一番最初、内七宝の昇仙台という展望台に登ったときに見た景色があまりにも絶景だったので息を呑んでしまった。ある日本人観光客が七宝山をアメリカのグランドキャニオンに例えたという話を事前に聞いていて、「また、オーバーな」と思っていたが、充分うなずける表現だと思った。しかし、結局、最大の見どころを一番最初に見てしまった感じで、後は、峰、峰、峰、岩、岩、岩の連続に感覚が麻痺してしまう。
ガイドを務めてくれたのは七宝山名勝地管理所の学術研究士を務めるキム・カプソン先生(63歳)。金正日総書記が訪れた際にもガイドを務めた有名な方で、その点でも贅沢であった。代表的な峰や岩には名前がついており、名前の由来やそれにまつわるいろんな話をしてくださった。
男女が寄り添っているように見える岩には「夫婦岩」という名前がつけられていたり、あとは亀岩、虎岩など動物の名前がつけられている場合が多い。なるほど似ている、と思うネーミングもあれば、「私にはそうは見えません」という場合もある。昔からつけられている名前もあるし、最近になってつけた名前もあり、学術研究士が集まって協議したうえで名前をつけるそうだ。
2日目、外七宝の降仙門区域を見学したときに、キム先生がある岩を指差して、「あれはウサギ岩です。在日同胞の女性がウサギに似ていると言ったのでそういう名前になりました」と説明してくれた。(あまり似ていないな)と思いながら、「私も岩に名前をつけてもいいですか?」と冗談で尋ねると、キム先生はあっさりと「いいですよ」と言う。これはチャンスだと周りを見まわし、それらしき岩を探した。しかし、すぐにやめることにした。変な名前をつけて後世に恥をさらすのも嫌だし、何よりそんな大それたことをしてはいけないと思ったからだ。
最初の問題の答は「サル岩」。確かにサルが横を向いている姿に見える。(k)