夏になると思い出す。
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梅雨もなんとなく明け、夜は寝苦しくなり、蝉が鳴き始め、知らぬ間に腕が焼けていた。
そう、気付いたときにはいつもまにか夏になっている。
「夏だねー」「暑いねー」という会話がいよいよ解禁です。
いまはクーラーがある環境にいるため、なんとか快適な夏ライフをすごしているが、朝大のころを考えると本当によく耐えたなと思う。
いまでこそ大学は冷房設備が整ってきているが、ほんの数年前までそんなものはなかった。
とくに美術科の授業は暑さとの闘い。美術棟がプレハブなので、真夏は熱がこもって室内温度30度以上の毎日の中、扇風機数台だけで絵を描いていた。
そのあまりの暑さに、油絵の具が溶けたり、北海道生まれの同級生が滝のような汗をかき、ついにはダウン。
そして美術科には夏になるとでてくる『室内温度が36度を超えると授業がなくなるらしい』という噂がある。
36度ですか?と先輩に笑いながら返していたのだが、入学一年目の夏の授業、暑さに悶え苦しみながらだれもが限界をむかえようとしていた。
その瞬間、ソンセンニンが現れ「よし、終わろう!」と一言。みんな筆を放り投げ「うわ~!!!」と歓喜したのはいまでも記憶に新しい。入学一年目にして噂は「マジ」になった。
そんな苦難を2年間体験し研究生になった年に、美術科にもやっと「冷房」がやってきた。
なんで自分たちの年にやってくれないんだ…と妬みながらも、毎日涼みに行っては「いいよね~君たちはクーラーがあって。私達の年はなかったんだぞ!節約しろ!」と嫌みをたっぷり言いに。
しかし、こんな最高の環境のなかダウンする子もいて、自分たちは相当強い子だったんだなと思ったこともあった。
夏になるとこの事をよく思い出し、最近は窓をあけ扇風機だけですごしているが、果たしていつまでもつことやら。(R)