海水浴場(祖国訪問記24)
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山にばかり行くのも芸がないので、旅の最後の日、咸興にある有名な麻田海水浴場に行くことにした。咸興の中心部から東南に25キロほどである。約2キロに渡って砂浜が広がっている。水も砂浜も比較的きれいだ。トンボがたくさん飛んでいた。浜辺のすぐ横には麻田観光休養所という大きな宿泊施設があり、外国人観光客も泊まれるようになっている。海は遠浅で50メートルほど進んでも足がつくという。祖国でも有数の海水浴場だというのがうなづける。
目の前に広がる海は朝鮮東海。日本海ではない。祖国で海を眺めるのは本当に久しぶりだ。最初は海を眺めるだけにしようと思っていた。しかし、最初に運転手のオさんが服を脱いでパンツ1枚になり泳ぎ出した。海の下にムール貝がいるようで、拾ってはこちらに投げてくる。オさんの泳ぐ姿を見て、案内のリさんも服を脱いで泳ぎ出した。二人の姿を見て、非常に悩んだ結果、靴と靴下を脱ぎズボンのすそを上げて足だけ水につけることにした。後々のことを考えて妥協してしまうところが、祖国の人々と比べて根性がない。
訪れた記念に、浜辺に自分の足跡を残しておいた。
咸興から元山に行く間、安仏寺(金野郡)と梁泉寺(高原郡)の2つのお寺を見学する。なかなか立派なお寺で、隠れた名所だと言えるかもしれない。安仏寺の後ろには樹齢2020年以上の巨大なイチョウの木が立っている。天然記念物でなかなかの見物だった。
元山を経由して一路、平壌へと帰る。今回の旅では、平壌、黄海北道、江原道、咸鏡南道、咸鏡北道、両江道と進み、帰りは両江道の恵山から咸鏡南道の北青へと戻ってきた。山奥や田園地帯などさまざまな場所を通ったが、農業に励み、山羊を育て、ダムを作り、鉄道や道路を補修し、子どもを育てる祖国の人々の姿があった。工場の煙突からは煙が立ち上っていた。国全体が150日戦闘にまい進していることを実感できた。
当初、10泊11日の予定で出発したが、祖国の人々の気迫に感化され、2日間短縮して旅の計画を100パーセント遂行した。(k)