本「在日の恋人」
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私が学生だった頃、大きな美術展覧会(名前を忘れました)で「在日の恋人」という作品を見ました。
そこでは、たしか「在日の恋人」に宛てた手紙などが展示されていたと思います。
具体的にどういった展示だったかは忘れてしまいましたが、在日である私が「在日の恋人」という作品に惹かれたのは言うまでもなく。
作品と同時にどんな人が作ったのだろうと興味深々でしたが、その時はweb等で調べるという習慣もなく、
作者名も難しかったので、忘れてしまい、探すこともできないままでした。
それから8年ほど経ち、愛読していた雑誌でその方をようやく見つけたのです!
名前は高嶺格(たかみねただす)さん。
日本人で現代美術作家さんだそうです。
なんと私の記憶に残っていた作品と同一名の「在日の恋人」というエッセイを09年4月に出版したということが書いてあったので、早速購入。
エッセイには「在日の恋人」という作品を作るに至った経緯から書かれていました。
驚いたのは、イオ2009年7月号でも掲載された「丹波マンガン記念館」で作品が製作されたということでした。
この作品をつくる過程で、日本人である作者が、在日の恋人含め在日の人と真摯に向き合う様が描かれていました。
イオのある編集部員が「ボーダーレス」という本を遠景で描かれた歴史に疑問が残ると評していましたが、この本はそういう意味では真反対ではないでしょうか。
「在日の恋人」という入り口から歴史を新たにみつめ、自分のなかで溝を消化していく姿はとても感慨深かったです。
と、いうわけで高嶺格著 「在日の恋人」(河出書房新社、1500円・税別)おすすめです。
難しい字体ではなく、さらっと書かれているエッセイなので、すぐに読めるのも良いですね。(愛)