どうする? 無償化問題
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4月から試行された「高校無償化」法で朝鮮高校生はその対象から外されたことで、日本各地では引き続き、朝高生、保護者、日本市民たちが声をあげています。5月25日からスイス・ジュネーブで始まった「国連・子どもの権利委員会」にも各地のオモニたち13人からなる代表団が参加し、国際世論に「朝高排除」の不当性を訴えました。
高校無償化とは、公立の高等学校については、授業料を徴収せず、私立高校には就学援助金として授業料の一定額を補助するというものです。対象となる学校種は、国公私立の高等学校などに加え、専修学校・各種学校(高等学校に類する課程として文部科学省令で定めるもの)も対象に入っています。外国人学校はここでいう「各種学校」の範疇の中で認められますが、日本政府は4月1日付けの官報で認められる各種学校について以下のように定めました。
我が国に居住する外国人を専ら対象とするもののうち、次に掲げるもの」とした上で、
イ 高等学校に対応する外国の課程と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられたものであって、文部科学大臣が指定したもの(東京韓国学校、東京横浜独逸学園、横浜中華学院、ブラジル学校など)
ロ イに掲げるもののほか、その教育活動等について、文部科学大臣が指定する団体の認定を受けたものであって、文部科学大臣が指定したもの(欧米の国際評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールなど)
ハ イ及びロに掲げるもののほか、文部科学大臣が定めるところにより、高等学校の課程に類する課程を置くものとして、文部科学大臣が指定したもの(朝鮮高校を想定か)
これに基づき4月30日にはイ、ロの基準を「満たす」とされる31校の外国人学校リストが発表されましたが、11の朝鮮高校はもちろん排除され、その代わりに朝高が「高等課程に類するかどうか」を判断する専門家会議が5月26日に発足しました。8月末まで結論を出す、としています。
法律がその対象を「各種学校」と定めているのに、なぜ朝鮮学校だけを排除するのか―。国会でも追及の声が高まっています。
5月25日、文部科学委員会では山下栄一参議院議員が質問し、「国は自ら(各種学校の)認可権はないのに…別の基準を…法律で決めてやるということは…根本的におかしい」と政府による意図的、恣意的な朝高排除を批判しています。
山下議員は5月号の本誌の特集でもこの法律が「各種学校」を対象にしている以上、学校種によって差別するのはおかしいと主張を述べられていますが、山下議員の質問に関する政府答弁を読んでも、その説明は釈然としません。
そもそも、朝鮮高校だけを槍玉にあげて検討すること自体、教育への不当な介入で、将来に大きな禍根を残すことです。今回、オモニたちが忙しい合間を縫って国連に出かけたのも、日本政府の謝った判断を正すためには、国際世論に訴える必要があると判断されたからでしょう。
参院選後を見越して、朝高排除の「おかしさ」「差別性」をどう浮き彫りにするか―。
朝高生たちも引き続き声をあげていますhttp://allchoko.blog76.fc2.com/。
参院選や「天安」事件でこの問題が後退しないよう、国会の場で公正に解決されるためには、まだまだやるべきことが山積していると感じます。(瑛)