朝鮮対ポルトガル―観戦記でない観戦記
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21日に行われたW杯の朝鮮対ポルトガルの試合を、東京朝鮮中高級学校で応援してきた。いわゆる「パブリックビューイング」と言われるものに参加したのは初めてであった。
44年ぶりのW杯出場、同胞が一体となって応援する場だということで、パブリックビューイングには、ちょっと無理をして息子も連れて行くことにした。本人も行きたいと言っていたし。会社から一旦家に戻り、支度をし食事もすませて東京朝高へ向かう。
電車に息子と並んで座っているとき、「もしや」と思って息子に訊いてみた。
「今日、ウリナラとどこの国が試合するのか知ってるのか?」
すると息子は、急な質問に当惑しながら、
「えっと、名前が6文字くらいの国…」
と、案の定トンチンカンな答えを返してきた(6文字というのも間違っているし)。
「本当に知らんの?」
と、たたみかけると、
「アルゼンチン…?」
と、こちらの顔色をうかがうように言うので、
「ポルトガル!」とやさしく教えてあげた。
まあ、子どもにとっては、ウリナラがW杯の舞台で試合をするということが大事で、対戦相手はどうでもいいのであろう。
試合開始の1時間前に会場に到着。そこで息子に、昨年朝鮮で買ってきた「강성대국(強盛大国)」のTシャツを着せる。着たまま会場まで来るのは危ないから会場で着替えさせたのだ。
会場では応援グッズを売っており、チヂミやおにぎり、ビールなどの売店も出ていた。ちょっとしたお祭り騒ぎである。すでに同胞もけっこう集まっていた。
今回は、純粋な観戦ではなく取材も兼ねていたので、試合が始まる前にできる取材は、ちゃっちゃと終わらせてしまう。
試合が始まるころには会場の東京朝鮮文化会館は同胞たちで埋まっていた。そして驚いたのが、日本や韓国のマスコミがいっぱい来ていたことである。
試合前の国歌斉唱。全員が起立して「愛国歌」を歌う。
8時半、ついに試合開始。私は同胞たちの応援する姿を撮影しながら、大画面をちらちらと眺める。
前半はほぼ互角の内容で試合が進んだ。1点は入れられたものの世界ランク3位のポルトガル相手に、朝鮮はまったく引けをとっていなかった。
会場は同胞たちの熱気でサウナの中にいるような感じ。冷たいビールを飲みながら応援する同胞たちの姿を見ながら、次の機会には絶対に取材を入れないで純粋に応援だけで来ようと心に誓っていた。
後半の結果は、みなさんご存知なので、あまり書かないが、4点目、5点目と追加され、朝鮮に勝ち目がなくなった後、シャッターチャンスも2度と訪れることはなかった(今日のブログも盛り上がりにかけるのだ)。
0-7という結果について感想を述べるなら、まず、この試合、朝鮮は負けると予選リーグで敗退が決まるわけだから、最低でも引き分けなければならなかった。負けが許されない試合を負けたのだから、試合を採点するなら0点となるだろう。
もうひとつは、勝ちに行く試合運びを選択し7点取られたのは仕方がないとして、そうであるならたとえ1点でも得点してほしかった。私は誰が得点してもよかったと思っているが、会場を盛り上げるという意味では鄭大世か安英学が得点すれば理想的だっただろう。
結果を見て、「情けない」と思う人がいても仕方がないと思う。実力差は歴然としていた。だが私は、少なくとも前半の朝鮮の戦い方を見て、非常に希望が持てたし、選手たちはよく頑張ったと思う。歯車が少し狂ったために大差になったのだと思う。ポルトガルとの試合が第1試合目だったら、また違う結果になっていたのではないか。
まあ、あまりの大差に、ショックで、しばらくつぶやくこともできないほどだったけれど。
朝鮮の決勝トーナメント進出はならなかったが、まだ1試合残っている。44年ぶりの舞台で、ぜひ1勝してほしい。次の試合は仕事抜きで、純粋に応援したい。そして、決勝トーナメントに勝ち上がった韓国には朝鮮の分も頑張ってもらい、ひとつでも上にあがってもらいたい。
残念な結果だったが、息子は喜んでいた。あの場の空気を体感できたことは貴重な経験だったと思う。いつもより寝る時間がそうとう遅くなったが、連れて行ってよかった。それに、今度はいつになるかもわからないから。
話はまったく変わりますが、昨日のブログで(愛)さんも書いていたように、明日午前9時から月刊イオのホームページがリニューアルします。イオのホームページ(https://www.io-web.net/)を開くと、「イオwebマガジン」云々と書いてあるので、何か根本的に変わるようですが、あまり期待せずにお待ちください。
6月25日にリニューアルしたのは、給料日だからでも、朝鮮戦争が始まって60年目に当たるからでもありません。たまたまです。
しばらく、トップページに「ホームページ完成まであと○日」とずっと出ていたのですが、時限爆弾が爆発しそうで、落ち着きませんでした。たぶんに見切り発車のところがあるので、いろんな不備があると思います。あたたかい目でご覧ください。リニューアルした後もどんどん修正していきたいと思っています。(k)