2011年問題
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先日、2010年10冊目となる「イオ」を作り終え、今日から来年度の「イオ」について編集会議を始めています。年間を通した議論は今年で8回目ですが、毎年いろいろと悩みながら年間のコンセプトを立て、連載ものや特集、雑誌デザインについて考えます。
2011年はどういう年になるのか―。
読者が「イオ」に求めていることは何か。
「イオ」はどういうメディアであるべきか―。
来年2011年は「イオ」が創刊15周年を迎える年。本社が30、40代向けの雑誌を創刊したのが1996年7月のことで、創刊号(写真)の特集は「30代―家族、仕事、人生」でした。
「イオ」の読者は30、40代のコリアンをターゲットにしていますが、コリアン同胞社会、と一口で言っても、最近は日本人と結婚する方が増えており、日本国籍を持つ子どもたちも増えています。民族、国籍、出自をひとくくりにできない人たちが増えるなか、読者と想定される人たちに、どのような情報を、どのように届けるか、どんな言葉で届けるのか、ということを考えながら1年の編集作業を振り返っています。
人は生まれてさまざな経験を重ねていきますが、30代、40代が抱える共通の問題として、子どもの教育や経済問題、仕事や職場での転機も訪れ、その役割も以前に比べ重いものになっていきますね。最近は、本人自身が重い病気にかかったり、親の介護を抱える人も増えています。
もっと大きく考えるのなら、30、40代同胞が生きるこの世界や日本社会、本国朝鮮をどう考えるのか―という大きな見識も雑誌の情報として求められる所でしょう。
また、一般的に読者がメディアに求めるとされる双方向性を、本誌がどう確保するのか、という課題についても議論しています。「イオ」編集部は昨年3月からブログを始め、また今年6月にはホームページをリニューアルしましたが、以前とは違った読者の反響や定期購読の申し込みが寄せられています。ネットは、編集についての意見が寄せられる貴重な窓口として浮上しています。
日々の雑誌作りに追われるなか、この期間は自分がやってきた仕事を振り返るいい機会でもあります。読者の、「声にならない声」をどうつかみ、その声を自分の中でどう噛み砕きながら、自分の言葉で絞りだすか―。編集者としてこれからが腕の見せ所でもあります。(瑛)