チャリティゴルフとカワサキ・キッド
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一昨日、江戸川青商会主催のチャリティゴルフコンペを取材しました。今回で13回目、前身の「我針会」から数えて23回目だというコンペ。学校や同胞社会のみならず、福祉部門をはじめ日本の地域社会にも貢献している同青商会の活動に感銘を受けました。そして、会長はじめメンバーのアツい志にも。
実は、私は数回の打ちっぱなしを除いてゴルフ未体験で、ゴルフ場に足を踏み入れるのも今回が初めて。プレーしていないのに疲れたのは運動不足のせいなのか。でもコースに出て、参加者たちのプレー写真を撮ったりするうちに、ゴルフにハマる人たちの気持ちが少しわかった気がしました。(ゴルフを始めてみようという気にはなりませんでしたが)
前置きは以上で、以下が本題。
最近、青商会のある先輩に薦められて、少年隊の東山紀之さんが書いたエッセイ「カワサキ・キッド」を読みました。同書は昨年6月に出版されたもので、自身の半生をつづった内容になっています。川崎で暮らしていた幼い頃の話の中に在日コリアンとの触れ合いについて書かれていた箇所があったので、1年前の本ですが一部を紹介したいと思います。(すでに読んでおられる方には失礼!)
幼い僕と妹と母との三人での生活が川崎・桜本の小さなアパートで始まった。
(中略)
僕たちの住む地域には在日韓国・朝鮮人の人々が多く暮らしていた。うちのアパートにもそんなコリアン・タウンの一角にあった。
近所には、日本名を名乗り、焼き肉店を営む朝鮮人母子が暮らしており、僕より二つ上のおにいちゃんがいた。
ある日、そのおにいちゃんと僕が喧嘩をして、僕が投げた石が向こうに当たったとかで、母がそのうちに謝りに行った。ところが、それがきっかけとなり、その一家とうちは一気に仲良くなった。女手ひとつで子どもを育てている母親同士、話が合ったのだろう。親が仲良くなると、子どもたちもすぐに仲良しになる。
僕と妹が毎日、お宅にあがり込むと、おばちゃんはいつも店の豚足を食べさせてくれる。僕たちはそれにかぶりついた。貧しくてお腹をすかせていた僕たちは、あのころ、あの方々がいなかったら、どうなっていただろうと思う。
幼い僕らは当時、その一家が朝鮮人であることも、在日の人々の置かれた状況も知らずに、無邪気に、まるで家族のようにかわいがってもらった。
いま思うと、遊んでもらうわ、食べさせてもらうわ、なんと親切にしていただいたことかと感謝の気持ちでいっぱいになる。
あのころ、桜本の在日の人々のほとんどが、本名を名乗れない状況にあった。
地元の小中学校の近くに朝鮮学校があったが、日本人の子どもたちの間では、「朝校の生徒に会ったら鼻に割り箸を突っ込まれるから気をつけろ」などというデマが流れていたりした。僕は「そんなことないのに!」ともどかしくてならなかった。
思えば、母も、韓国・朝鮮人を差別する意識をまったくもっていなかった。
自身も戦争でつらい体験をしていたし、在日の人々の虐げられた状況は他人事とは思えななかったのだろう。ともに貧しくて、お互いに助け合わないと生きていけない状況だったとも言える。
(中略)
あれから三十年たち、最近は韓流ブームが起こり、韓国には日本人観光客が何十万人も行く時代になった。一方、高等学校の無償化から朝鮮学校だけ外されたというニュースが入ってきて、いまも変わらない日本の社会の器の小ささも感じる。
いま、シュウちゃんはどこに住んでいるのだろう。やさしかったおばちゃんは元気だろうか。この街で暮らした在日の人々はどうしているだろう。
(引用終わり)
私は少年隊世代で、カラオケでも彼らの歌を歌うことがあります。今までヒガシについては、「育ちのいいお坊ちゃん」的な印象を持っていましたが、この本を読んでそれがガラッと変わりました。決して恵まれているとはいえない家庭環境に育った彼が芸能界で成功を収めることができたのはなぜか。ストイックで礼儀正しく、優しいという今の東山紀之を形作った人生経験が淡々と語られていて、上に引用した部分だけではなく、全体的に共感を持てました。「タレント本」という呼び方がおこがましいような内容の本なので、未読の方はぜひ!(相)
転載しても…
東山紀之さんのエッセイ「カワサキ・キッド」、いい話ですね。「高校無償化」にもふれてあって。ブログに転載してもいいでしょうか?
ウリハッキョを記録する会
初コメント。
日刊イオが朝の習慣です。
不謹慎ですが、ヒガシがいっぺんに好きになりました。笑
いつも月刊イオのステップアップ朝鮮語を楽しみにしています。長く続けてください。
Unknown
金日宇さま、転載OKです。
京都の朝青員さま、私も東山さんが好きになりました。ステップアップ朝鮮語のご愛読、ありがとうございます。
Unknown
昔を思い出しました。
ナの場合、こんな良い話では無かった。
どちらかと言うと苛められた方でした。
でも裏に住んでた鵜飼さんだけは違ってました。
いつも庇ってくれたし優しくしてくれました。
「高校無償化除外反対に署名をしたよ」って
笑いながら言ってる声が聞えてくるようです。
転載・コマッスムニダ。
さっそく、転載させていただきました。
昨日は、代々木公園での「無償化」わ求める2千人集会に行ってきました。「イオ」の編集長も取材していました。次号は「抗議」ではなく、「実現」のニュースでうまればいいのですが…。
良い気分です。
昨年の秋、広島の朗読会に参加しました。
何か自分にも出来る事はないだろうか、、、、と、ブログを見ながらにわか応援団になりました。
しかし、やはり思った以上に問題は大きく三歩進んでも、二歩下がってしまいます。
東山さんの飾り気のないありのままのお話(体験)にもっともっと真剣に考え自分に出来るどんなに小さな事でも頑張って見ようと勇気つけられました。
素敵なお話をありがとうございました。