地震が起きようと起きまいと
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先週もブログで書いた、東北朝鮮初中級学校への補助金不支給のことについて書きます。
いくつかの報道では、不支給を決めた理由を、
「国が砲撃事件を受けて交付基準を見直したため」(産経新聞)とか、
「昨年11月の北朝鮮による韓国砲撃への県民感情を考慮し、支給を見合わせた他府県と歩調を合わせる」(河北新報)などと報じました。
ちなみに朝鮮新報の4月4日付の記事(朝鮮語)では、
「東北初中教育会理事会は、宮城県が延坪島砲撃事件とそれに対する『県民感情』を口実に今年度予算に計上していた東北初中に対する補助金162万4000円を支給しないとしていることに対し、(決定の見直しを求め)抗議していくことで合意した」と報じています。
今回の決定は学校側に、文書などではなく口頭で伝えられたということで、
いずれにしろ県の意向がどのようなものであったのかを調べるために、直接宮城県の私学文書課というところに7日午前、電話してみました。
対応してくれた公務員の方は、想像していたよりもとても丁寧に対応してくれました。
以下に要点をまとめます。
●補助金を交付しないことにした理由は、
昨年11月に朝鮮半島で起きた砲撃事件を受け、県議会内で「県民感情を考慮し補助金を見直すべきではないか」という議論が高まり、支給を見合わせた他府県と歩調を合わせた。
砲撃事件後、国が朝鮮学校への「高校無償化」適用をめぐって総理の指示で審査手続きを停止したことから、県の補助金のこともクローズアップされた。
●普段から大阪や東京など、支給を見合わせた他府県と、朝鮮学校のことをめぐって情報交換はしてきた。
●(やっぱり理由がはっきりわからなかったので)「決め手は何だったんですか?」という質問に、「最終的に何をもって決めたかというのは、正直、事務方としてはわからない」と担当者は返答。県内にも両意見がある、と言っていた。
●宮城県では平成4年度から東北初中に補助金を支給してきた。当時、訪朝団なども行き来する中、友好機運が高まり、当時の知事がゴーサインを出した。「拉致問題」が発覚した時も、県は変わらずに補助金を出し続けた。「その時はそもそも、補助金見直しという議論にもならなかった」と言っていた。
●今回の決定は知事の決断。いわば政治判断。知事の判断が変わらない限り、覆されることはない。
なぜ今回宮城県が東北初中への補助金をカットすると決めたのか、
非常にあいまいな理由しか聞くことができませんでした。
「歩調を合わせる」というのは聞こえは良いかもしれませんが、理由としては不十分すぎます。
そもそも、歩調を合わせなければならない理由は何なのでしょうか。
こんな「適当」な感じで朝鮮学校の権利は踏みにじられてしまうのかと、
憤りも感じつつ本当に呆れてしまいました。
しかしこれは私の個人的な解釈ですが、県の行政内でも温度差があるんだな、と思いました。
少なくとも私に対応してくれた担当者は、今回の決定に疑問を感じているようでした。
「今まで支給していたものを何故」という感じでした。
「理由になってない理由」、ちっとも「合理的でない理由」をふりかざして、
等しく震災で被害を受けた東北初中にさらなる打撃を与えようとしているなんて、本当に許せません。
一方宮城県は、昨年度分の補助金に関しては
「砲撃事件」を受けて一時凍結していたものの、「未曾有の東日本大震災の被災地という人道的な見地から支給した」といいます。
しかし、朝鮮学校のような民族学校にも当然、地方行政からの補助金を受け取る権利があり、
そもそも今回のような非常時だから受けられる恩恵的なものでもないはずです。
地震が起きたか起きていないかなんて関係なく支給されるべきです。
宮城県知事は「人道的な見地から」という言葉を発しながら、
人の道に反したことを同時に行っていると思うのですが、違いますか?(里)