印象に残った言葉など
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現在、イオ編集部は7月号の編集作業の追い込みに入っています。
なので、本日のブログはここ2ヵ月間で印象に残った言葉のうちの一つを紹介したいと思います。(雑誌編集作業とはまったく関係ありません、ごめんなさい)
プロ野球・楽天ゴールデンイーグルスの選手会長・嶋基宏選手の言葉です。ネタが古いので、ご存知の方も多いはずです。4月29日、仙台のKスタジアム宮城で行われたオリックスとの本拠地開幕戦を3‐1で快勝した後、監督以下、コーチ、選手が整列する中、嶋選手がスタンドに向けてあいさつしました。以下、発言の全文です。
本日は、このような状況の中、Kスタ宮城に足を運んでいただき、またテレビ、ラジオを通じてご覧いただき、誠にありがとうございます。この球場に来る事が簡単ではなかった方、ここに来たくても来られなかった方も大勢いらっしゃったかと思います。
地震が起こった時、僕たちは兵庫県にいました。遠方の地から家族ともなかなか連絡が取れず、不安な気持ちを抱きながら全国各地を転戦していました。報道を通じて被害状況が明らかになっていくにつれて、僕たちもどんどん暗くなっていきました。その時の事を考えると、今日、ここKスタ宮城で試合を開催できた事が信じられません。震災後、選手みんなで「自分たちに何ができるか?」、「自分たちは何をすべきか?」を議論して、考え抜き、東北の地に戻れる日を待ち続けました。そして開幕5日前、選手みんなで初めて仙台に戻ってきました。変わり果てたこの東北の地を目と心にしっかりと刻み、「遅れて申し訳ない」と言う気持ちで避難所を訪問したところ、皆さんから「おかえりなさい」、「私たちも負けないから頑張ってね」と声を掛けていただき、涙を流しました。
その時に何のために僕たちは闘うのか、はっきりしました。この1ヵ月半で分かった事があります。それは、「誰かのために闘う人間は強い」と言う事です。東北の皆さん、絶対に乗り越えましょう。今、この時を。絶対に勝ち抜きましょう、この時を。今、この時を乗り越えた向こう側には強くなった自分と明るい未来が待っているはずです。絶対に見せましょう、東北の底力を!本日はありがとうございました。
私は夜のスポーツニュースで偶然そのスピーチに接したのですが、とても感動し、心を揺さぶられました。自分の周辺では、「本拠地開幕戦での楽天・嶋選手のスピーチが」と言っても、「知らない」とか「ふーん」とかいう微妙な反応が多かったので、少々気落ちしました。しかし、ネットやツイッター上などでは大きく取り上げられていたので、自分の感覚が世間ずれしていないことを確認できました。
嶋選手のスピーチですが、とくに後半部分「その時に何のために~」からの流れが個人的に心に残りました。「誰かのために闘う人間は強い」といったフレーズも。彼の言葉になぜ多くの人々が感動したのか。最後の部分、「絶対に~ましょう」で韻を踏んでいたり、などといったうまさはもちろんあると思います。加えて、飾らないシンプルな言葉、カンペなしでまっすぐ観客席を向いてゆっくりと、そしてはっきりと語りかけるスタイルも大きな要因ではないでしょうか。
震災後で本拠地という環境があったにせよ、スポーツ選手でこれだけ人の心に響く言葉を発することができる人はそうはいないと思います。日本の政治家や東電の役員は真っ先に彼を見習うべきでしょう。
youtubeなどで映像も見れます。
嶋選手を恐ろしいほど持ち上げてしまいましたが、同胞社会の中でもこの間、心に残る言葉が生まれました。代表的なのが、「대지는 흔들어도 웃으며 가자」(大地は揺れても笑って進もう)でしょうか。私が宮城に入った3月17日、その日に東北朝鮮初中級学校の食堂に貼り付けられたこのスローガン。同校校長が考えたそうです。今では震災に屈せず立ち上がる被災地同胞の心情を象徴する言葉になり、同胞社会に広まった感もあります。同胞社会の今年の流行語大賞があれば、間違いなくノミネートされるでしょう。
取材、とくに3月11日以降、市井に生きる人々、現場で奮闘する人々の口から発せられる言葉にはっとさせられることが多々ありました。今後も機会があればこのブログを借りて、誌面に反映しきれなかった言葉を紹介していきたいと思います。(相)
素晴らしい
人間は弱い、しかし底力で強くなる。
Unknown
たけちゃんさん、コメントありがとうございます。人間、危機に瀕したときにどれだけ力を発揮できるかが大切だと思います。