同胞の集まりと焼肉
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先週の土曜日(16日)、東京都江東区にある東京朝鮮第2初級学校で「高校無償化からの排除、助成金停止、教育における民族差別を許さない」と題されたシンポジウムがありました。
東京朝鮮第2初級学校は、枝川の朝鮮人集落にあり「枝川朝鮮学校」という名で親しまれています。
2003年に東京都から立ち退きなどを迫られ、多くの人々の支援の中で裁判闘争を行い勝利したことはよく知られています。裁判に勝った後、新校舎建設という大きな課題にも取り組み、今年4月には竣工式も行われました。
この日のシンポジウムでは、裁判闘争で活躍した在日朝鮮人の金舜植弁護士と日本人の師岡康子弁護士が報告を行いました。
金弁護士は、「高校無償化」から朝鮮学校だけが排除されている問題点とこの間の経緯について説明し、日本政府か繰り返してきた統一見解が「外交上の配慮などにより判断すべきでなく教育上の観点から客観的に判断すべきものである」というものであり、政治外交上の理由で審査手続きを停止させている今の状況は法的に許されないと語っていました。そして、このままの状況が続けば提訴に踏み切るしかなく、その準備を進めていることを明らかにしました。
師岡弁護士は、「高校無償化」からの朝鮮学校排除が国際人権法とマイノリティの教育権の観点から見て、いかに不当なものであるのかを、「人種差別撤廃条約」をはじめさまざまな国際人権法を挙げながら説明しました。「日本は民族的マイノリティとしてアイヌのみを認め、在日朝鮮人を民族的マイノリティとしてその存在自体を認めてこなかった」と、日本政府のこれまでの姿勢を根本的に批判していました。
シンポジウムはこのように非常に意義のあるものだったのですが、今日のブログの本題は、シンポジウムそれ自体でなく、シンポジウムの後に行われた焼肉です。
会場となった東京第2初級には、地域の同胞やこれまで学校を支援してきた日本の方々が多く詰め掛けていましたが、告知にはなかったのに最初から予定されていたようで、主催者と参加者が集まって焼肉パーティーが行われました。
とにかく、在日朝鮮人は焼肉が大好きです。この場合「在日」の部分が大事です。それと、七輪に炭で焼く焼肉。
何か集まりがある、というと、すぐに七輪を出してきて(持っていって)、焼肉を始めます。新年会、花見、夜会、野遊会、海、山…ときりがありません。そして、その焼肉が、そこらへんの焼肉屋で食べるよりも美味い。
今でこそ、日本人もバーベキューというものをやっていますが、私が子どものころ、海や川原などで焼肉をやっていると、日本人が羨ましがって眺めていたものです。虐げられ差別されてきた朝鮮人が、優越感を得るための、焼肉がひとつの手段だったのではないか、とも思ったりします。ともかく、苦しい生活を強いられてきた同胞同士が集まり、焼肉を囲みながら、酒を飲み、語り、歌い踊る空間が必要だったのでしょう。以前のブログでも書きましたが、根本には焼肉という食文化を生み育てた誇りが在日朝鮮人には宿っています。
昔はみんな貧しかったので、そうそう家族で焼肉を食べに行くということはなく、七輪での焼肉が若い同胞だけの集まりだったりしたら、速い者勝ち、肉の取り合いで、まともに焼けた肉を食べるというのは至難のわざでした。
ともかく、七輪をみんなで囲んで焼肉をつつくと、不思議な一体感が醸し出されるのでした。今も、「七輪で焼肉やるの」と聞くと、そんなに参加したくない集まりでも、「行ってみるか」という気持ちになったりします。炭をおこすのが上手い人は、それだけで存在感があったり…。
七輪での焼肉パーティー、東京第2初級を守るための活動の中でも、ことあるごとに学校で行われてきたそうです。昨年12月には、旧校舎とのお別れ会でも校舎の中で行われ、もうもうと立ち上る煙のために2~3メートル先が見えないほどだったとか。
ある同胞は、校庭でみんなが焼肉を食べることで、学校を守るための闘う人々の団結を強くし闘いのエネルギーを補給してきたと述べながら、「焼肉に釣られて集まりに参加し、そのなかで学校支援の活動に参加するようになった日本人も少なくない」とこっそりと語ってくれました。
シンポジウムの後の焼肉も大いに盛り上がりました。何度も参加している日本の方は慣れたもので、自然に溶け込んでいます。この日は、日本の方が約3分の1はいたのではないでしょうか。
場が盛り上がってきたところで、参加者が一人ひとり前に出て、自己紹介をしました。日本の方は、朝鮮学校や朝鮮人に対する思い出や思いをそれぞれ語っていました。
立派な校舎は建ちましたが、「高校無償化」問題、地方自治体の補助金の問題など、朝鮮学校をとりまく状況は厳しく、安定した運営を続けていくことは容易ではありません。
この日に集まった人々も、引き続き朝鮮学校のために汗を流したいと語っていました。
これからも繰り返し、学校での焼肉パーティーが行われることでしょう。(k)
焼肉バンザイ!
焼肉は本当にいいですよね。肉が食べたいと言うよりは七輪を囲み会話しながら肉をつつくあの感触がたまらないですね。
東北でのコンサートの後、群馬の廉数昭さんが持ってきてくださった沢山のお肉を出演者も参加者も学生達も集まって一緒につつきながらどんなに楽しかったか知れません。在日の誇り(?)ですよね。同胞愛、家族愛のようなものを感じます。
同じ日、松本でも焼肉でした。
松本のウリハッキョで、日朝長野県民会議と松本市民会議が主催した学習会の後も、屋外で七輪を囲んでの焼肉を囲んでの懇談会でした。
映画「ウリハッキョ」上映に先立ち、中三の生徒の、高校授業料の「無償化」が実現しないため、愛知朝高への進学を断念せざるを得ないが、日本の社会に出ても朝鮮人として生きていくとの話、厳しい現実に胸が痛みました。
その一週間前、仙台のウリハッキョで催された、「アンソロジー刊行会とその仲間たちの復興支援コンサート」の後も、校庭で児童、学父母、地元の市民の皆さんと一緒に七輪を囲みました。
来週は、都内のいくつかのウリハッキョで夜会です。七輪焼肉も?
Unknown
金さん、オンニョさん、いつもコメントを送っていただき、ありがとうございます。
震災後、被災地の朝鮮学校でも焼肉パーティーがたくさん行われたようですね。
これから各地の朝鮮学校で夜会が行われますが、ここでも七輪が大活躍するようです。
七輪
初めてお邪魔しましたが、いいシンポジウムでした。勉強になりました。おかしな質問もスパイス程度だったようで。
七輪での焼肉は、いや本当に旨かったですね。
Unknown
齊藤さま、当日はご苦労様でした。
今度は一緒に七輪を囲みましょう。