巨匠ガウディの生きた時代
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ガウディ伝「時代の意志」を読む(田澤耕著・中公新書)という本を読んでいます。
バルセロナのサグラダ・ファミリアをはじめとする世界建築史に燦然と輝く遺産を残した・・・なんて説明は不要なほど誰もが知る建築士アントニ・ガウディの伝記です。
私事ですが世界遺産、なかでも文化遺産が好きです。いくつか本も持っていますが、本書は私の知る他の本とは視点が異なっていて、おもしろそうだったので買ってみました。
日本はガウディに関する本がもっとも数多く出版されている国の一つだそう。この本では、それらをほぼ読みつくしたという著者が、ガウディの異才がどのように発揮されたのか、ガウディをとりまく環境―政治混乱や産業構造の変化といった19世紀末から20世紀初頭のスペインおよびカタルーニャの時代史に焦点を当てて書いています。
第三章では「ガウディのパトロン」について書かれています。ガウディはパトロンとの出会いにより、自身の創造性を存分に発揮するチャンスを得るという幸運に恵まれました。ではパトロンたちの資金はどこからきたものなのか。彼ら振興ブルジョアジーの多くは奴隷貿易で資金を肥やしガウディの創作活動を支えたそう。それを時代を遡って詳細に解説していて、とても興味深かったです。
まだ半分しか読んでいませんが、読み進みながら、私を魅了してやまないガウディの作品を彼の生きた時代になぞって想像し、思い焦がれ、至福の読書時間を過ごしています。
バトリョ邸にグエル邸、ミラー邸、そして21世紀においても建設中のサグラダ・ファミリア!ガウディ亡き今、彼の新しい作品が生まれることはありません。サグラダ・ファミリアは、まるで肉体を離れて生きる彼の創作への飽くなき意志そのもの。一部でサグラダ・ファミリアの完成を惜しむ声があるのは、こんなところに理由があるのかもしれません(今これを書いているだけで若干興奮しています)。
いつの日かバルセロナに行き、1日中ガウディの作品群を見て過ごしたいものです。
これを読み終えた後には、マチュ・ピチュに代表されるインカ帝国の秘密に迫った本が棚に控えています。(淑)
ガウディ
北朝鮮では、ガウディはどう評価されているんですか? バルセロナは日本人旅行者がいっぱいですが、朝鮮人旅行者も結構いるのかな。