モンダンヨンピルと「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会が共同声明
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月曜日(26日)の(里)さんのブログでも書かれていましたが、東日本大震災で大きな被害を受けた朝鮮学校を支援しようと結成された韓国の市民団体・モンダンヨンピル(ちびた鉛筆という意味)のメンバーらが来日し、栃木で行われたセッピョル学園の場で朝鮮学校への1次支援金(1000万円)をNPO法人「ウリハッキョ」の李東潤理事長に手渡しました。23日のことです。
一行は、その翌日の24日には、東京都江東区にある東京朝鮮第2初級学校を訪問しました。夕方からは東京の某所で、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の方々と会合と交流会を持ちました。
会合では、両団体が今後も連携をとりながら朝鮮学校を支援していくことが確認され、ブログの最後に紹介した「共同声明」を採択しました。
私は交流会から参加したのですが、朝鮮学校という存在を介して、韓国から来た人々、日本の人々、そして在日同胞が一堂に会し、朝鮮学校を守るのだという同じ思いのもとに人と人とが純粋に繋がった、本当に素晴らしい空間が作り上げられていました。政治や立場や言葉などの壁はまったく消え去っていたと思います。
交流会が盛り上がってくると、当然のように歌が始まりました。
モンダンヨンピルの共同代表のクォン・ヘヒョさんとイ・チサンさん、シンガーのソン・ビョンヒさんが「子どもたちよ、これがウリハッキョだ」を披露しました。この曲は在日の詩人、許南麒氏の同名の詩をもとにイ・チサンさんが作曲したものです。
在日同胞が歌うとき、一部で最後の歌詞を変えて歌っている場合がありますが、ちゃんともとの詩により忠実に「니혼노 각고오요리 이이데스(日本の学校よりいいです)」と歌っていました。(写真下)
その後も、いろんな人たちが前に出て、いろんな人たちが肩を組んで、いろんな歌を披露していました(クォン・ヘヒョさんとソン・ビョンヒさんは二人で長渕剛の「乾杯」も歌ってました。クォンさんはギターも歌も上手かった。写真下)。
「ウリハッキョ」の監督のキム・ミョンジュンさんは、朝鮮学校に何年も泊り込み映画を撮影したので、朝鮮学校のことや在日同胞のことはよく理解していますが、今回来た人たちの中には、朝鮮学校を初めて訪れた、在日同胞と初めて深く話をしたという人もいました。
私と同じテーブルに座った労働運動をしているというチョさんもそうで、朝鮮学校を訪問した感想を聞くと、「何十年にも渡って、抑圧と差別の中、民族を守るために朝鮮学校を建て運営してきた在日同胞の努力に驚嘆するしかありません」と語っていました。
交流会に参加して全体として感じたのは、韓国の人たちが朝鮮学校を支援する日本の人たちの存在を非常に心強く思い感謝の気持ちを抱いているということでした。
そして、韓国、日本、在日の3者がこのように集まるというのは、朝鮮学校のもつ正当性というか、素晴らしさを証明するものではないでしょうか。
交流会の最後、モンダンヨンピルの共同代表のクォン・ヘヒョさんとイ・チサンさん、そして、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の事務局長である長谷川和男さんの3人が、この日に採択された共同声明に署名しました。(写真、左からイ・チサンさん、長谷川和男さん、クォン・ヘヒョさん)
この共同声明は、あまり全文が掲載されることがないと思うので、このブログで全文を紹介したいと思います。
共同声明
東北大震災で被災した朝鮮学校を支援する韓国の市民団体モンダンヨンピルと「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会は、日本政府や地方自治体など行政による朝鮮学校差別をこれ以上許さないという共通理念のもとに、2011年9月24日、東京で合同会議を持った。
昨年度から始まった「高校無償化」は、日本にあるすべての高校、専修学校、外国人学校に差別なく適用されるという画期的なものであった。しかし残念ながら法律が施行された昨年4月から、朝鮮学校だけを排除するという状態が続いてきた。1年を遥かに超えた今年8月、菅直人前首相が自ら行なった朝鮮学校に対する高校無償化適用審査手続き「凍結」を「解除する」と指示したことによって、審査手続きが再開され「高校無償化」の朝鮮学校適用に向けて、やっと動き出すこととなった。
1年半にわたって朝鮮学校だけを排除してきた日本政府の対応は、一方で東京都をはじめとする一部の自治体がこれまで出してきた補助金を止めるといった事態を誘発している。
日本政府や地方自治体は、すべての子どもの学ぶ権利と民族的アイデンティティを保障した国際人権規約、子どもの権利条約そして人種差別撤廃条約を遵守し、植民地時代に奪われた民族性の回復を積極的に保障するという責務を果たさなければならない立場にある。
民族教育の保障は外交や政治に左右されてはならない基本的人権の問題であり、子どもを外交や政争の具にするかのような対応は、断じて許されることではない。
朝鮮学校で育つ子どもたちは、日本と朝鮮学校の架け橋となり、東北アジアの平和に貢献しうる存在である。
私たちは、このような認識のもと、さしあたり次のことを強く訴える。
1.再開された「高校無償化」審査手続きを迅速に進め、一日も早く、2010年度に遡って就学支援金を支給すること。
2.東京都をはじめとする一部の自治体は、従来の補助金を不支給とした措置を直ちに撤回すること。
2011年9月24日・東京
モンダンヨンピル(ちびた鉛筆)
「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会
(k)
転載許可のお願い
初めてコメントいたします。
記事中の共同声明を「朝鮮学校無償化問題FAQ」(上記URL)に転載したいのですが、かまわないでいでしょうか?
rawan60さんへ
コメント、ありがとうございます。
「朝鮮学校無償化問題FAQ」は読ませていただいています。非常に参考になります。
共同声明は、月刊イオとまったく関係のないものなので、編集部で転載の許可を出す出さないということはできませんが、公開されているものなので、「朝鮮学校無償化問題FAQ」に載せても問題はないと思います。
ヘイトスピーチに反対する会のブログに朝鮮語版も掲載されています。
http://livingtogether.blog91.fc2.com/blog-entry-108.html