まだ終わらない「無償化」問題
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8月29日、菅直人首相(当時)が朝鮮学校への「高校無償化」適用審査再開を指示してからすでに2ヵ月が経とうとしています。適用については、現在、文科省による審査手続きが進行中、11月末~12月上旬に完了し、最終的には12月上旬に野田佳彦首相が決断を下す見通しです。
このブログでも何度かふれましたが、審査再開直後から朝鮮学校への「無償化」適用に対する異論が続出。反対の声は止むどころか、与野党、地方議会の適用反対の動きは加速しています。地方議会では、適用に反対したり、慎重な審査を求める意見書が19箇所で可決。以下、一部を抜粋します。
「朝鮮総聯が教育内容、財政、人事に強い影響を与えている朝鮮学校の無償化審査再開はとても国民の理解を得られない。暴挙だ」
「朝鮮学校に通う子どもに日本社会や国際社会に対する軋轢を生み、人権侵害の疑いがある」
「無償化はわが国の対北外交方針を根底から覆す」
など、許しがたい排他的な文言が盛り込まれた意見書が公然と可決されているのです。
適用を目前にしてもまた一難。一筋縄では行かないのが日本という国。何がなんでも朝鮮学校を認めようとしない姿勢は、まったく見上げた根性とでもいいましょうか。
また、ツイッター上には、これらの意見書を後押しするようなヘイトスピーチが流れています。「高校無償化」で検索すると、前述の意見書に関する記事をリツイートしながら、以下のようなことがつぶやかれています。
「地方議会が政府に反対の声を挙げていくのは当然のことだ。政府はそんな捨て金のようなもの使わずに復興費にまわすべき!」
「朝鮮学校への支援金給付を行わないと決議文を採択した。良識党員ガンバレ」
「高校無償化という大義名分(笑)の下、「政治団体」「思想教育団体」に日本の税金を投じるなんて論外極まりない」など。
産経新聞を筆頭にメディアは反対の声ばかりを積極的に集め、それが国民の声、正論であるかのように報じていますが、先週26日には、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会が文科省と内閣府を訪れ要請活動を行っており、粘り強く声をあげ続けている人たちはいます。私たちはその存在を、「無償化」適用を声高に訴え続けた2年にわたる闘いの中で、幾度となく確認してきました。
もしも野田首相が前首相のように超法規的に審査を停止するようなことがあっても、同じ轍を踏むだけ。野田首相には、暴言を吐き散らすレイシストたちの言葉になど耳を貸さないで、賢明な決断を下してほしい。そして現在進行形で侵害され続けている朝鮮学校生徒らの尊厳を、今度こそ回復していただきたい。(淑)