いつまで朝高生を苦しめる?
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「高校無償化」制度発足から1年7ヵ月がたった今も、朝鮮高校生徒には就学支援金が支給されていない。
忘れもしない昨年11月。菅直人前首相は朝鮮半島で起きた「砲撃事件」を口実に審査手続きをストップさせたが、自身が首相職を辞する直前、これまた「超法規的な方法」で審査手続きの再開を指示した。しかし、その指示から2ヵ月以上たった今も結論が出ていない。この間、国会で一部議員が朝高の教育内容を敵視する発言を重ねたり産経新聞による歪曲報道が繰り返されている。状況は予断を許さない。
「高校無償化」法の目的は、教育の機会均等に寄与するためのもので、専修学校や各種学校のうち、「高等学校の課程に類する課程」を置く外国人学校の生徒たちも対象とすることが法律で決められている。
しかしながら、日本政府が朝高を排除するため、あらゆる口実を設けてきたのは周知の事実。
政府は、「未承認国家なので、本国における教育制度上の位置づけが確認できない」「国際評価機関の認定も受けていない」という「理由」をあげて、他の外国人学校とは別の認定基準を設けるとして「検討会議」を立ち上げた。その後、専修学校の要件に準じて基本的に判断するとの基準案が提示された後も、民主党内の意見を集約するというプロセスを加え、結論を先延ばしにした。
朝高生が制度から排除されつづけるなか、今週8日、参議院議員会館で国会議員を交えた勉強会が開かれ、社民党の福島瑞穂党首、又市征治副党首、宮本たけし・衆議院議員(共産党)らが参加し、一日も早い適用を求めた。勉強会の主催者によると、国会でこのような集まりを持つのは10回目。東京朝鮮高級学校の生徒や保護者、教員たちからは強い憤りが示され、会場は緊張感に包まれた。
朝高側は、もし政府が引き続き差別的な対応をとるのなら、訴訟という手段を講じてでも「高校無償化」を勝ち取る覚悟でいる。東京朝高2年の李那優さんは、訴訟をする場合は原告に立つという。「親とも相談しましたが勇気が要ることでした。けれど、先輩たちやこれから朝高に来る後輩たちのためにも、誰か1人でも勇気を出して名乗りを挙げなきゃと思いました。朝鮮人に対する差別があることに不安を感じています。安心して学べる環境を整えてほしい」と切願していた。
李さんを見ながら、政府による朝高排除は現代の「朝鮮人イジメ」だと改めて感じたし、長く続く差別は現役の朝高生たちに深い傷を与えていることがひしひしと伝わってきた。
何度でも言うが、無償化問題は、一貫して子どもの教育問題だ。就学支援金の支給に学校や国籍による差別、政治的な介入があってはならない。こんなことは日本が批准した「子どもの権利条約」をはじめとする国際条約を一度でも読めばわかることだ。ましてや、日本の国会が作った法律からも平等支給が読み取れるのに、朝高だけが超法規的な方法で排除されるなんて、どう考えてもおかしい。
国会議員の皆さん、もっと声をあげてください。(瑛)