大阪朝高ラグビー部、劇的逆転で3年連続全国大会へ!
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昨日、(麗)さんが大阪朝高ラグビー部について書いてしまいましたが、実際に競技場に駆けつけ試合を観たのは私なので、今日も続けて大阪朝高ラグビー部の活躍について書きたいと思います(平壌で行われている朝鮮対日本のサッカー戦についても書きたいと思ったのですが、まだ試合前なので)。以下、新鮮な気持ちでお読みください。
13日の日曜日、大阪に行ってきました。
花園ラグビー場で行われた第91回全国高校ラグビー大会の大阪府予選決勝に出場した大阪朝鮮高級学校ラグビー部を応援するためです。ちなみに大阪はラグビーが盛んで強豪校が多いなどの理由から、3校が全国大会に出場します。だからこの日の大阪府予選決勝も第1~第3まで3つの地区の決勝戦(3試合)が行われました。
大阪朝高が出場したのは大阪府第1地区予選決勝。対戦相手は大阪桐蔭高校でした。大阪桐蔭は第1シード校で、前評判でも大阪桐蔭が有利ではないかと言われていました。さらに、3年生同士を比べれば、高校入学から3年間、大阪朝高は練習試合を含め大阪桐蔭に1度も勝ったことがありませんでした。
試合前、大阪朝高の呉英吉監督も「実力は大阪桐蔭が上、しかし、気持ちでは絶対に負けない。われわれはチャレンジャー」と語っていました。
大阪桐蔭は攻撃力が持ち味のチームです。対する大阪朝高はディフェンスのチーム。いかに相手の攻撃を止めるのかが試合のカギとなる、「大阪朝高伝統のタックルで相手を倒す」と監督やコーチは一致して語っていました。
午前11時、試合が始まりました。
試合が始まってすぐ、大阪朝高が主導権を握ります。敵陣に攻め込み波状攻撃をしかける大阪朝高。4分にキャプテンの洪泰一選手(左フランカー、3年)が中央にトライ。ゴールキックも決まって7―0とリードします。その後も攻撃を続けますが、あと少しのところで相手のディフェンスに阻まれ得点できません。トライを取れるチャンスがあったのを逃したことから、試合の流れが変わります。
10分過ぎからは大阪桐蔭の攻撃が長く続きます。大阪朝高も粘り強く守りますが18分にトライを奪われ7-7の同点に。そしてその流れを相手は切らさず26分に追加点を奪われ、前半を7-12で終了します。
後半開始早々、相手陣内深くに大阪朝高は攻め込みますが、朝高選手のパスを大阪桐蔭選手がインターセプトし90メートルを独走しトライ。7-19と大きくリードされてしまいます。
白状しますと、私はこの段階で、ほぼ勝利をあきらめてしまいました。スミマセン。しかし、選手たちはまったくあきらめていませんでした。呉監督も後で話を聞くと、「まだまだ時間がたくさん残っていたので、まったく焦りはなかった」と語っていました。
その通りに試合は展開していきます。
そこからの朝鮮朝高の選手たちの気迫がすごかった。
ハイパントなどキックを多用し、相手陣地へ殺到していきます。
8分に洪泰一選手が左隅にトライし12-19。
ほぼ敵陣で試合を進め猛攻をしかける大阪朝高。
20分、モールを押して相手ゴールになだれ込む大阪朝高。
そして21分、ラックから出たボールを右センターの高綜徳選手(3年)が左中間にトライ、17-19。
その後も大阪朝高の攻撃が続きます。しかし、残り時間はどんどん少なくなっていきます。29分、場内アナウンスでロスタイムが2分であることが告げられました。
ここからは、大阪朝高ラグビー部のホームページに掲載された試合内容についての文章を紹介します。
「後半のロスタイムは2分。時計の針が30分にさしかかろうとした時、朝高のパスミスでボールが桐蔭に渡ってしまった。敵陣22mライン付近中央、桐蔭は時間を使うため連続してラックを形成する。朝高が気をつけなければならないのは焦りからくるペナルティ。しかし、焦っていたのは桐蔭のほうであった。桐蔭はマイボールを確保しようとするあまり、オーバーザトップの反則を犯す。ゴールほぼ正面。このPGを14番、康哲明が落ち着いて決め、ノーサイドかと思われたが、まだワンプレー残っていた。直後の桐蔭キックオフのボールは朝高選手の懐に吸い込まれ、ラック。そこから出たボールをSOがタッチに蹴りだし、ノーサイド。劇的な幕切れであった。」
私も最後の最後にボールが大阪桐蔭に渡ったときは、もうだめだと思いました。しかし、あの時間にゴールほぼ正面で反則が出るとは、本当に驚きでした。
試合終了のホイッスルがなった瞬間、歓喜する選手、ベンチ、観客、そして取材記者の私。
終了直後のテレビのインタビューを受けた呉監督の両目から涙がこぼれていました。呉監督の涙を見るのは初めてです。現在のチームは、2、3月と3年生が怪我をするなど非常に苦労が多かったと語っていました。そして、どうしても昨年のチームと比べられ、選手たち自身も自信をなくしていた時期もあったといいます。しかし、「選手たちはひたむきにラグビーに取り組んできた。それが実った今日の勝利だった」と呉監督は語っていました。その思いが涙となったのでしょう。
グランドでの記念撮影が終わった後、呉監督は選手一人ひとりを抱き寄せて選手を讃え喜びを表していました。これも初めて見る光景でした。
これで大阪朝高は3年連続の全国大会出場です。激戦区大阪で3年連続は素晴らしい快挙だと思います。
第91回全国高校ラグビー大会は12月27日から始まります。決勝戦は1月7日です。
この原稿を書き、仕事で外に出ている間に、サッカーW杯予選、朝鮮民主主義人民共和国対日本の戦いは、朝鮮が1-0と勝利していました。私は前半だけ観て、後半、特に得点シーンを見ることができませんでした。
この試合については(相)さんがこのブログで書いてくれることでしょう。(k)
感謝!
子供たちに感謝、Kさまにも感謝です。
1月に<オッキの涙>をこのブログに送ったのがまるで昨日のようです。もう一年がたったのですね。実況放送のような記事を寄せてくださり本当に感謝です。昨年も大阪でずっと記事を書いてくださったのですが今年もきっとそうしてくださるだろうなと勝手に喜んでいます。教え子達の名前が出るたびに涙が出ます。どんなにプレッシャーがあったことでしょう。でも彼らははねのけました。仕事の許す限り私も応援に出かけます。民族教育に感謝です!
オンニョさまへ
いつも温かいコメントを送っていただき、本当にありがとうございます。
今年の年末年始も花園で取材したいと思っています。お会いできるのを楽しみにしています。