崔承喜生誕100年
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今日11月24日は、20世紀に朝鮮舞踊を世界に広めた舞踊家・崔承喜生誕100年を刻む記念日です。
崔は、朝鮮が日本の植民地支配に苦しんでいた1926年、ソウルで石井漠舞踊団のソウル公演を観たことを機に渡日します。35年に石井から独立し、24歳で崔承喜舞踊研究所を設立した崔は、翌36年末から1年間アメリカに滞在し、37年末にはサンフランシスコ公演、38年1月にはロス公演を成功させました。39年にはパリ、ジュネーブ、ローマ、ミラノ、南ドイツ、オランダ、40年にはブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、ペルー、チリ、コロンビアと公演の翼を大きく広げた崔。3年の間に150余の公演回数は当時、東洋での最高記録で崔はまさに世界的なスターでした。
「私は、舞踊に貧しい朝鮮、しかも自分たちの舞踊の遺産さえも継承していくことのできない朝鮮に生まれた私は、郷土の芸術を新しく再建して行きたいと努力しています。一番苦しかったのは昭和4年(1929年)京城に帰った時の3年間です。…自分でさえ舞踊を放擲しなければならないかとさえ考えたことがある。涙を流してその場に、倒れてしまったことさえあるのですが、然し今となってはそれらの苦しみも皆、幸福な夢のようです」(崔承喜談、「世紀の美人舞踊家 崔承喜」(高嶋雄三郎・鄭浩編著、エムティ出版、1994年)
朝鮮の文化が根こそぎ奪われていた受難の時代。彼女に胸に宿っていた強い意志が胸に迫ってきます。
川端康成をはじめ日本にも多くのファンがいた崔ですが、1946年に朝鮮に渡った後の足跡については、最近私たちが手にとれる資料からも明らかになってきています。
「1920年代と1930年代は、日本色、日本かぶれの濁流のなかで失われていく民族性を固守し、民族的なものを発展させようとする強烈な志向が文学・芸術の各分野で噴出していた時期である。こういう時期に、崔承喜は、朝鮮の民族舞踊の現代化に成功した。彼女は民間舞踊、僧舞、巫女舞、宮廷舞踊、妓生舞などの舞踊を深くきわめ、そこから民族的情緒の濃い優雅な踊りのリズムを一つひとつ探し出し、現代朝鮮民族舞踊発展の基礎づくりに寄与した。当時、朝鮮の民族舞踊はまだ舞台化の段階には到達していなかった。劇場の舞台に声楽、器楽、話術の作品がのることはあっても、舞踊作品がのることはなかった。ところが崔承喜によって舞踊リズムが完成され、それにもとづいて現代人の感情に合う舞踊作品が創作されはじめて以来、状況は一変した。舞踊も他の姉妹芸術とともに堂々と舞台に登場するようになったのである。崔承喜の舞踊は国内にかぎらず、文明を誇るフランス、ドイツなどでも熱烈に歓迎された」(金日成回顧録「世紀とともに」5巻、1994年、雄山閣)。
朝鮮民主主義人民共和国の平壌では、今日から崔承喜生誕100周年記念行事が3日間にかけて行われます。平壌に駐在する本社記者によると、平壌大劇場では、崔承喜が創作した舞踊劇「砂道城の物語」が国立民族芸術団によって上演され、人民文化宮殿で開かれるシンポジウムでは、崔承喜の生涯、崔が築き上げた朝鮮民族舞踊の基礎、作品の特徴について、話し合われるとのことです。人民文化宮殿では、記念図書の出版記念式典、朝鮮舞踊芸術家と海外同胞芸術家との交流会も開かれます。この行事には日本からも朝鮮舞踊家たちが参加しています。
100周年を記念して、朝鮮の人々は崔承喜の残した文化遺産をどのように継承しようとしているのか。また、この間発掘された新しい事実はどんなものだろうか。興味は尽きません。
幼い子どもや学生向けに朝鮮舞踊を普及するため、崔が編んだ「朝鮮児童舞踊基本」(1963年)には彼女の言葉が次のように記されています。
「舞踊の基本動作や作品を指導するにあたって、人体を自由に駆使できる能力のみを育ててはいけない。人間の行動は思想感情と不可分の関係を持っているだけに、重要なことは、内面的な精神世界が鮮明に発現されなければならない。…舞踊の作品指導において一律的に指導して枠にはめ込むのではなく、児童舞踊といえども彼らが持つ個性が発揚されなければならない」
今、愛国烈士陵に眠る崔承喜は、朝鮮民族の精神を「舞踊」に託し、その造形美や律動は世紀を越えて受け継がれてきました。
朝鮮舞踊の礎を築いた崔承喜に、舞踊家としても、指導者としても内外の大きな注目が集まっています。生誕100年を迎えて生きつづける舞踊家・崔承喜。来年1月号でより詳しくご紹介します。(瑛)
Unknown
高校時代の舞踊の師、カンフイソン先生も祖国での催しに参加されています。ピョンヤンでの文芸同結成50周年記念祝賀会で崔承喜先生の愛弟子である洪貞花さんと手を繫ぎ踊ったことが昨日のことのようです。朝鮮舞踊は不滅です!
広島公演
広島では12月4日にあります。
夏の写真展にも参加させてもらいました。
4日は金賞を受賞した広島朝鮮学園舞踊部の出演もあり楽しみに待っています。
Unknown
オンニョ先生。
いつも温かいコメントをコマプスムニダ。
平壌の土産話を首を長くして待っています。
朝鮮の土で崔承喜先生の舞踊がどのように伝えられているのか。いつの日かこの目で見てみたいです。
記事ありがとうございます。
崔承喜を研究しているもので、この100周年の映像または情報などお聞かせていただきたく
存知ます。