「ピョンヤンの冬休み」も読みたい
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柳美里さんの「ピョンヤンの夏休み」を読了しました。同書と関連したエントリーを、すでに(k)さんと(相)さんの2人が当ブログに書いていて、もう3度目になるのでいささか気が引けましたが、良書なので繰り返し宣伝するに越したことはありません。
とかく、柳美里さんの言葉で描かれる朝鮮は、美しい。情景が眼前に浮かんでくるようです。自然や街中の景色はもちろん、そこに暮らす人々の言動、柳さん自身の感情の微妙な変動にいたるまで全てが非常に繊細、鮮明、豊穣な表現で綴られていて、ものすごくリアリティのある「物語」を読んでいるようでした。
愛情たっぷりに描かれる朝鮮の人々や、柳さんが朝鮮語を一つひとつ学ぶ姿、他愛のないやりとりなど、人々の心と心が通い合う姿に、何度も笑顔になってしまいました。通訳の金雪花さんと、柳さんの息子の丈陽くんとのやりとりは特に印象深かったです。ページの下に挿入された小さな写真たちもまたいい。
また、柳さんが出会った人たちがそれぞれ抱える暗い過去や、民族分断といった朝鮮半島の現状に心を痛めたり、柳さん自身の、「祖国」と「自分」との関係性に対する苦悩などが随所で見え隠れし、何度か喉の奥の方が熱くなりました。
私はこの本を、休日に近所のカフェに居座ってのーんびり読みました。途中休憩を挟んだり、隣の人の会話を盗み聞いてこっそり笑ったりしながら(すみません、どうでもいいですね)。
朝鮮について書かれた本は日本で数多く出版されていますが、コーヒー片手に穏やかな気持ちで読める本はそう多くないんじゃないかと思います。
柳美里さん自身が、「『ピョンヤンの夏休み』は、書いているのが楽しい稀有な作品でした」(月刊イオ2月号「ポドゥナムの里から」)とおっしゃっているように、「ピョンヤンの夏休み」は読んでいるのも楽しい作品でした。
同書は、2008年秋、2010年春、同年夏と3度の訪朝記を一冊にまとめたものですが、冬だけが欠けています。
私自身、冬の朝鮮を見たのは今から12年前の2000年の一度きりで、湿度のない凛とした空気や街ごと白く覆う雪、凍った大同江でスケートを楽しむ人々など・・・柳さんの目には朝鮮の冬景色がどう映り、どんな言葉たちで表現されるのか、「ピョンヤンの冬休み」もいつか読んでみたいなぁと思いながら、本を閉じました。(淑)
私も読みました。
この記事を読んで早速本屋へ…本を注文して届くまで一週間。
読もうと勢い込んだら、妻が「丁度読みたかった本!!」といわれ横取りされました。やっとのことで本が返ってきて、3日で読みました。
読み終わるのが残念な本でした。
太っ腹さんへ
コメントありがとうございます。
本、戻ってきて読めてよかったですね^^
私も読み終わるのが残念でした。続編を期待しましょう!