「『無償化』実現という悲願に人間として向き合ってほしい」
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朝鮮高校の卒業式を2週間後に控えて、各団体の要請活動が相次いでいます。
今週だけでも、ハルモニたち、日本の市民団体、詩人歌人たちと、3つの団体が文科省と内閣府を訪れ要請活動を行いました。同時に文科省前では各団体によるスタンディングデモも続けられています。
これまで数十回と行われてきた要請活動ですが、今回ばかりは参加者たちも憤りを抑えられないようすでした。
「審査はいつ終わるんですか?」
「なんの審査をしてるんですか?」
「こんなに時間がかかるのは、何が問題なんですか?」
「なんで?」「どうして?」と繰り返し、また、子どもを朝鮮学校へ送る保護者たちは、
「朝鮮学校の保護者たちは、限りある体力の中で学校を支えているんです。子どもをちゃんと育てたいという一心で、一所懸命学校に送ってるんです!」
「朝鮮学校への嫌がらせ、バッシング…どれだけつらい気持ちで子どもたちが学校へ通って、親が通わせているかわかってますか!」
「一人の人間としてこの差別の痛みを感じられますか?」
と、張り裂けそうな胸の痛みをぶつけていました。
この2年間、当たり前の権利を何度も主張し、期待しては裏切られ、安堵しては悲嘆して…と、屈辱と痛みを繰り返し味わって、なおも動かない理不尽な現状に対し、一体これ以上どこに思いをぶつけていいのか――参加者たちの訴えからは、そんな途方もなさが感じられました。
「無償化」問題は何を生んだのか?
「無償化」制度に伴い民主党政権は、16~18歳の特定扶養控除を減額したことで、朝鮮学校保護者らは余計に税金を払うことになり、さらにわずかばかりの補助金まで打ち切られ、保護者たちは二重に経済的逼迫を与えられています。
そして何より、右派勢力、反北勢力のキャンペーンに日本政府が便乗し、朝鮮学校を対朝鮮政策の道具として利用したことで、差別の構図を日本全国に広げる状況を生み出しました。
(瑛)さんも書いていましたが、この間に、ホライゾン・ジャパン・インターナショナルスクールとコリア国際学園がそれぞれ8ヵ月と5ヵ月の審査期間を経て、無償化の対象に定められました。
この二つの高校が数ヵ月の審査で認められたのに対し、朝鮮学校の「無償化」問題はもうすぐ2年に。2校への審査内容と、現在「進行中」とされている朝鮮学校への審査の内容は、当然まったく同じものでなければならないはずですが、果たして本当にそうなのでしょうか? 生徒数や教員数、学校数の違いなどを考慮したとしても、答えは否、です。
昨日、内閣府を訪れた許玉汝さんはこう訴えていました。「まともな考え方をして、『普通』の一般的なものの見方で考えて、この世の中に差別していい子どもと、したらいけない子がいる、そんなことあるはずがない」。
朝鮮学校と「無償化制度」を巡る、一部の政治家の発言や報道によって、問題が過剰に複雑化していますが、私たちは「等しい権利を」と、人間としてごく普通のことを主張しているだけです。一人ひとりが基本的人権に立ち返って、もう一度この問題を真摯に見つめなおしてほしいです。(淑)