繰り返される警察の不当な強制捜索
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今日朝8時過ぎ、月刊イオ編集部が入っている朝鮮出版会館に警視庁公安部をはじめ警察が150人ほどやってきて強制捜索を繰り広げた。入ったのは、朝鮮出版会館に事務所がある在日本朝鮮人科学技術協会(科協)と在日本朝鮮人体育連合会(体連)の2ヵ所。同会館以外にも同時刻に、株式会社中外旅行社と総聯板橋支部に も強制捜索している。
強制捜索の理由は「外為法違反」ということだった。
今回の強制捜索についての朝鮮新報の記事はこちら。
http://jp.korea-np.co.jp/article.php?action=detail&pid=53019
とある同胞が経営するパソコン関連会社が朝鮮民主主義人民共和国に「違法 」に中古パソコンを販売したということで、同胞が逮捕された事件に関連しての強制捜索だった。
中古パソコンを販売したことが「犯罪」になるということ自体がおかしなことだが、ましてやその会社と科協と体連とは、まったく何も関係がない。朝鮮出版会館に強制捜 索が入るのは、イオ編集部が入ってからでも3回目となる。いずれもまったく 関係のないことでの強制捜索だ。
科協と体連の関係者の話によると、逮捕された同胞は科協の会員でもないま ったく接点のない人物で、何年か前に科協会員とその同胞が朝鮮に行く際に通常事務として手続きをしただけとのこと。体連も3年前に朝鮮で行われたW杯予選の試合を観にいった同胞がその会社のパソコンを持っていっただけだとのことだった。
その証拠に、ものものしい強制捜索だったにも関わらず、押収したのはその同胞がメールの件名かなにかに出てきただけのパソコンや年賀状など数点だけだった。
47NEWSでは「捜査関係者によると、公安部は今回の科協の家宅捜索で押収した資料を分析し、パソコンの流通経路や輸出目的などの解明を進める。」(28日)と報道しているが、まったくのトンチンカンなもの。分析できるような資料でもなんでもない。ただ何ももっていかないとまずいから形式的に押収しただけのものだ。
完全に、弾圧のための強制捜索、朝鮮と在日朝鮮人に対する悪いイメージを 植えつけるための強制捜索で、警視庁は事前に日本のマスコミにリークしており、強制捜索に合わせて多くのマスコミが集まっていた。
朝鮮出版会館は雑居ビルなのだが、警視庁は朝鮮出版会館を完全に封鎖し、捜索先以外の事務所の職員も中に入れず、数時間に渡り寒い中を外に締め出した。その結果、一人の女性が倒れ救急車で運ばれるという事態まで起こった。
このような在日朝鮮人や朝鮮総聯に対する弾圧はこれまで何度も繰り返されてきた。一つだけ例を挙げると、2006年11月、警視庁公安部が都内在住の同胞女性を「薬事法違反」で連行した事件。その女性は朝鮮を訪問する際に自分の病気治療に必要な点滴薬を持っていこうとしただけだったが、警視庁は女性の自宅と、まったく関係のない総聯東京都本部など計7ヶ所を強制捜索した。そして日本のマスコミは何の根拠もなく「北朝鮮の化学兵器開発」云々と報道し た。
この事件があったときにイオ編集部が行った日本人弁護士へのインタビューで、その弁護士は次のように発言している。最後にちょっと長いがその一部を 紹介する。
「事情聴取を受けた在日朝鮮人女性は、身体が悪く朝鮮に行って何かあったら困るからお医者さんに多めに薬を出してもらったというだけのことで、いまだに警察から検察庁に事件が送致されていません。本来は刑罰を科すべき内容ではないからです。朝鮮総聯の関係機関を捜索する目的が先にあり、些細なことをあえて事件化している。…政治弾圧だと言われても仕方がありません。
現在、在日朝鮮人が直接の標的になっていますが、今後、誰が標的になるかわかりません。国家から標的とされたら最後、もはや手も足も出ません。『法の厳格な運用』と言って不平等な運用をするということは、時の権力者にとって都合の悪いことを言う人たちに対してはいつでも襲いかかってくる可能性があるということです。多くの日本人は今は矛先が自分に向けられていないから 、さほど危機感を感じていませんが、現在の一連の朝鮮総聯への不当な捜索は、日本政府が底辺の日本人を切り捨てていることと表裏の問題であり、在日朝鮮人だけの問題ではなく、日本人の問題でもあると考えています。」(k)
お知らせです。朝鮮高級学校への「高校無償化」制度適用などを求める緊急集会とデモが3月1日、各地で同時に行われる。ぜひご参加を。
■東京 18時集会、19時デモ出発(代々木公園→渋谷駅周辺)、代々木公園イ ベント広場
■大阪 18時30分~(18時開場)、阿倍野区民センター
■兵庫 19時~、神戸市勤労会館7階
■広島 18時30分~20時、広島朝鮮初中高級学校4階多目的ホール