「蛇の島」「古俗に遠吠える狗たち」
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unit『航路-ハンロ-』の演劇、「蛇の島」と「古俗に遠吠える狗たち」が下北沢「劇」小劇場にて上演中です。
unit『航路-ハンロ-』は、劇団Mayの座長・金哲義さんと、劇団タルオルムの座長・金民樹さんによる2人芝居ユニット。Mayもタルオルムも大阪の劇団で、これまで何度も東京公演を行っていますが、unit『航路-ハンロ-』は東京初上演ということで、私は昨日の初日に行ってきました。
作品はどちらも済州島の過去と現在を映したものです。
朝鮮戦争前夜、冷戦のはざまで犠牲になった済州島の歴史、その隠蔽、忘却。沈黙させられた、あるいは被害者自らが封じてきた記憶、痛み――。そして現在繰り返されている民への暴力。
作品はそれらに背を向ける者も、向き合おうとする者をも批判しています。作品に込められた完膚なき批判精神――その視線は朝鮮人自身に向けられたもので、観る者は朝鮮人自身の、同じ民族に降りかかった災への「無関心という加害性」、何万もの民の死を引きつれて生きる「変えられない歴史性」を否応なしに突きつけられるでしょう。
故郷を済州島に持つ作者・金哲義さんは、済州島を自身の命題として作品を創り続けています。故郷への痛いほどの執念はどこから来て、またどこへ向かっているのでしょうか。機会があればお話を聞いてみたいなと思います。
詳しい内容は本誌に掲載予定なので、割愛。5月号をご覧ください。
作品の精神世界もさることながら、演出が素晴らしかったです。一言で「かっこいい」。すっかり魅入ってしまいました。
今回はマダン劇のスタイルで、マダンとは「広場」意味し、朝鮮半島南部で創られた演劇のスタイルです。マダンの周りを観客がぐるりと取り囲み、演者と観客が一体となってお芝居を創ります。
(舞台装置はこんな感じ)
(「古俗に遠吠える狗たち」のワンシーン)
(出演者のお二人。左頬に뱀(蛇)と、右頬に개(狗)と書かれています。かっこいい!)
不思議な体感でした。開放感であったり閉塞感であったり、風を感じたり、暗闇を感じたり・・・小さな箱の中に留まっている気がしないというか、観客もろともいろんな場所へ連れて行ってくれる、うまい表現が見つかりませんがそんな感じでした。
上演期間は明日まで。本日17日(土)は19:00、18日(日)は14:00開演となっています。お時間のある方もない方も!(笑)ぜひぜひぜひ!ぜひともこの機会にunit『航路-ハンロ-』体感してください!(淑)
劇団航路
褒めて頂いてわがことのように嬉しく思います。
「蛇の島」は済州で見ましたが、「・・・狗」
も見たいなあと。在日済州三世の活躍が日本と
韓国社会の一隅を照らしていると思うと
わが人生への小さな矜持が温まる感じです。「イオ」も頑張っているようで善哉。
Unknown
東京での公演、お客さんたちがどう反応してくださるかと心配していましたが安心しました。今どき、客に媚びることなく、真摯な発想で、地道に在日の歴史、故郷の歴史に光をあて、劇を作り、発信している若者たちがいることは本当に嬉しく頼もしい限りです。
いつも応援してくださる<イオ>の皆さん。コマッスムニダ。
済州の大安さま
済州の大安さん、初めまして。コメントありがとうございます。イオへの温かいお言葉もありがとうございます。
「蛇~」ご覧になったんですね。
どちらも考えさせられる内容でしたが、個人的には「~狗」がとても気に入りました。韓国で上演する機会があることを願っています!
今の在日の方は
多くが、済州島からの避難者だといいますね。
その経緯も触れられているのでしょうか。
興味があります。