心を一つにした演奏会
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民族楽器の演奏会へ行ってきました。
民楽(ミナク)は、民族楽器愛好家らが細く長く続けてきたアマチュア重奏団です。
毎年定期演奏会を行っていて、私もこれまで何度か足を運んできましたが、今年の演奏会は例年とは違うものでした。
昨日、東京・王子の北とぴあで行われた演奏会<마음을 모아서~私たちのきずな~>は、東日本大震災で被災した朝鮮学校のために開かれたチャリティ公演です。昨年の震災を受け団員らは「朝鮮学校に応援歌を」との思いから、従来の定期演奏会を変更して、チャリティ演奏会を決めたそうです。
演奏会では、民楽のほかに、さまざまな民族楽器演奏家やコーラスグループ、遠方からのゲストなどを迎え、多彩な演目が披露されました。観客からひときわ大きな拍手が送られたのは、被災地から招かれた朝鮮学校生徒らの演目でした。<마음을 모아서>(心を集めて)という題のとおり、世代や地域を超えて音楽でつながり心を一つにした、素晴らしい演奏会でした。
また、パンフレットには震災の同胞被害状況と、この一年間の同胞らによる支援活動の内容をまとめた資料が挟まれていました。それは時が経っても震災の被害を忘れず、ともに痛みを分かち合おうという団員らの呼びかけとも感じられました。
ヤングムやカヤグムの独奏、被災地の子どもたちのために綴られた詩の朗読、おやじコーラスグループ<アエ☆ユニット>による男声重唱、また、震災直後、同胞青年らによりいち早く作られた被災同胞への応援歌<언제어디서나>(いつもそばに)と、震災から1年という節目に新たに作られた<잡은 손>(つないだ手)という曲が朴昭暎、金嬉仙さんにより披露されました。
「今日までのたくさんの支援に、今日は演奏でお返しします」と、カヤグム重奏<어디까지 왔니>(どこまで来たの)を演奏してくれたのは、福島朝鮮初中級学校の生徒でした。演奏に先立って、生徒らが1年間を振り返って率直な心情を綴った作文が読み上げられ、会場からは大きな拍手が送られました。
演奏会のラストをかざったのは、東北朝鮮初中級学校と、茨城朝鮮初中高級学校の生徒たち、そして震災後に東北から西東京の学校へ転校した生徒を交えての大合奏でした。被災地の生徒のみならず、震災によって離ればなれになった生徒も気遣う団員らの思いやり。本当に心温まる演奏会でした。
今回のチャリティ演奏会は、20代の同胞青年らが実行委員となって企画・運営されました、実行委員会メンバーの半分以上が私の同級生。また、被災地応援歌を披露した2人も同級生です。演奏会を終え、彼・彼女らの熱い想いに、それを形にできる実践力に、心底頼もしい仲間を持ったと喜び、また、私自身も被災地の復旧・復興のため、微力を尽くしていきたいと今一度思いました。(淑)