21年前の月刊「新しい世代」
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先週のこのブログで、映画「KOREA」についての感想を書いた。
主に映画で描かれていたことと実際の出来事がいかに違っているのかを指摘したのだが、21年前、現場にいたとはいえ記憶があいまいな部分も多く、ブログを書くに当たって当時の出版物を読み直した。
主に参照したのがなぜか家に保管してあった月刊誌「新しい世代」の1991年6月号(写真)。「新しい世代」という雑誌は朝鮮青年社から発行されている雑誌で、今は「セセデ」という名前で親しまれている。91年6月号は、「コリア」卓球統一チームの特集を組んでいて、分断史上初めて実現した北と南の統一チームの活躍の模様が写真と文で紹介されている。特集の中の「夢の統一チーム実現」という観戦記は、文章がうわずっていて独りよがり、鼻につくのだが、優勝した女子団体戦のことが詳しく書かれていて参考になった。
実は当時、私はこの「新しい世代」の編集に携わっていたのであった。今回統一チームのことを確認するために読んだのだが、懐かしくなり、ついつい他のページもペラペラと読み返してしまった。21年ぶりだから。
雑誌を読み返していると、統一チームの取材の日々のことや世界大会終了後、短期間で雑誌を仕上げたことなど、当時の編集作業のことをいろいろと思い出すとともに、考えることが多かった。
まず思ったのは、けっこうなページ数の雑誌をよく少人数で作っていたなということ。ページ数は116ページもある。編集後記のページを見ると当時の編集スタッフは4人。4人で取材、執筆、写真撮影、写真現像、レイアウト、原稿依頼などをこなしていた。今みたいに、ネットはないしデジカメはないし携帯電話はないし(ワープロはあったけど)、レイアウトも担当の記者がレイアウト用紙に線を引いて自分でやっていたので、何倍もたいへんだったはずだ。でも当時はそれが当たり前だと思っていたので、特に苦にならなかった。
次に思ったのは、21年前の「新しい世代」が今の「イオ」と内容がひじょうに似ているということ。連載の内容もそっくり。「新しい世代」は同胞青年向けの雑誌、それも主なターゲットは日本の高校に通っている同胞の高校生だった。そう思うと、ひじょうに「カタイ」雑誌だったと思うが、逆に言えばそのような内容が受け入れられる社会的な状況があったということであろう。
それはさておき、一番問題なのは、自分の雑誌作りの発想がほとんど進歩していないことがわかり愕然としたのである。これからはもっと若い人たちの新しい発想で雑誌を作っていく必要があるだろう。
しかし、映画「KOREA」を観て悲しさや苛立ちを感じていたのだが、21年前の雑誌を読み返して当時の感動が呼び覚まされた。事実を歪曲しても何も良いことはない、事実こそが感動的だということを確信できた。
統一チームが活躍した千葉での世界卓球選手権大会は4月24日から5月6日まで開催された。ゴールデンウイークはすべて取材でつぶれたのだが、まったく嫌だとは思わなかった。あのような感動的なゴールデンウイークはもう2度とないかもしれない。
まだ何もゴールデンウイークの予定が決まっていない今、なおさらそう思うのであった。
イオ編集部は明日3日から6日までお休みです。このブログもお休みします。(k)
面白そうな雑誌^^
月刊イオも、この雑誌も、図書館などで探したんですが、ありませんでした(月刊千里馬はおいてあったんですけど)。どこで売ってるんでしょうか。一般の本屋さんでも売っているんでしょうか。
Unknown
ポチョンボ電子楽団大好きさま、いつもコメントありがとうございます。
紹介した月刊「新しい世代」は現在「セセデ」と名前が変わっています。月刊イオもセセデも一般の書店には置いていません。月刊イオは朝鮮新報社、セセデは朝鮮青年社へ直接注文していただければ、購入できます。