平壌宣言から10年、朝・日国交正常化交渉の再開を願う
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17日、民主党の中井洽衆院予算委員長に近い関係者と朝鮮の政府関係者が中国・瀋陽で会談を行い、日本の敗戦後に朝鮮国内に残された日本人の遺骨問題などについて協議したという。
このような水面下での接触が、今後の朝・日関係改善を進めていくうえで、何らかの糸口になってくれればと、切に思う。
2002年の朝・日平壌宣言から、今年で10年が経とうとしている。
朝・日平壌宣言は今までも、そしてこれからも朝・日関係改善に向けた里程標となってはいるが、
小泉元首相が訪朝して以降、朝・日関係は悪化の一途をたどったといえる。
日本側は落着したはずの拉致問題について「全員の生還なくして国交なし」として交渉を自ら断絶してしまった。
朝鮮と日本との間に国交がない状況は、いまだに続いている。
小泉元首相が訪朝する以前にも、朝・日国交樹立に向けた取り組みと、そのための具体的成果となった出来事はあった。
1990年9月、自民党元副総理の金丸信が朝鮮を訪問し、朝・日国交樹立への扉を開いた(その前にも、当時の社会党が訪朝団を派遣(1963年)したり、超党派の日朝議連代表団が訪朝(1972年)するなど、朝・日関係改善のための日本の政治家たちの取り組みはあった)。
金丸訪朝団は朝鮮に赴いた際、総理親書をもって金日成主席と会談し、朝鮮労働党、自民党、社会党の三党共同声明を調印・発表した。
そこには「三党は、過去に日本が三六年間朝鮮人民に与えた大きな不幸と災難、戦後四五年間朝鮮人民が受けた損失について、朝鮮民主主義人民共和国に対して、公式に謝罪をおこない十分に償うべきであると認める」とあった。
しかし彼らの訪朝は日本の右翼から「土下座外交」などとはげしい抗議を受けた。また三党共同声明が発表された後、自民党、アメリカ、韓国から交渉に対する「注文」がつけられたこともあり、その後複数回行われた交渉で朝・日双方の主張の違いが浮き彫りになるなど様々な理由から、交渉は打ち切られた(1991年1月、金丸は脱税容疑で逮捕された)。
結果はどうあれ、これらは朝・日関係史において歴史的な出来事だった。
朝・日国交正常化問題は、いまだ未解決の外交課題として横たわっている。
現政権の野田首相は、朝鮮に対して歴然と敵視政策をとっている。
朝・日関係を本気でどうにかするんだという気概をもった政治家が現れなければならないと思う。
日本が朝鮮に対する敵視政策をとる中で、対朝鮮制裁、そして在日朝鮮人に対する政治弾圧、人権弾圧も引き続き公然と行われている。
私がこの前、朝鮮から日本に帰ってくる際に、お土産品をすべて押収されたのは、日本の対朝鮮制裁によるものである。
平壌宣言から10周年を迎える今年、朝・日国交正常化交渉が再開されること、そして対朝鮮制裁と在日朝鮮人に対する弾圧が解消されることを強く願う。
とくに、万景峰92号の入港禁止措置など、祖国往来の権利を脅かす非人道的な制裁措置などは即刻廃止してもらいたい。(里)