「未亡人製造機」、いよいよ配備か
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先日のこと。朝の情報番組から流れてきたニュースに、起き抜けからげんなりさせられた。
普天間基地へのオスプレイ配備を、野田首相が今月23日の「慰霊の日」に沖縄入りして仲井真沖縄県知事に要請する、というのだ。報道について藤村官房長官は「事実無根」と否定しているが、地元紙・沖縄タイムスは「火のないところに煙は立たず。官邸内からそうした話が漏れ伝わってくること自体、不謹慎だ。」と書いていた。
あろうことか沖縄の人々にとって特別な日である「慰霊の日」にオスプレイ配備を要請するというのだ。過敏になるのは当然。反発は必至だろう。沖縄の県民感情を逆なでするような無神経、厚顔無知に、沖縄差別・蔑視感情が端的に表れていると思う。
この垂直離着陸輸送機MV22オスプレイとは、ヘリコプターのように垂直に離着陸が可能で、かつ固定翼機のように水平飛行が可能な新型の輸送機で、「ウィドウ・メーカー(未亡人製造機)」との異名も付けられる欠陥機、危険な輸送機として知られている。施策段階で4回の墜落事故を起こし、30人が死亡。実用段階でも昨年4月にアフガニスタン、今年4月にはモロッコで墜落事故を起こしている。その他にも装置不具合や故障による不時着が報告されているという。
この極めて危険な欠陥機を、9万人を抱える住宅密集地のど真ん中にある普天間基地に配備すればどうなるのか。言うに及ばず、だ。米国が普天間基地の辺野古沖移設にこだわる理由も、オスプレイを沖縄に配備するために新たな海上ヘリ基地を求めているから、との見方もある。これは配備の危険性を米政府自身が裏付けているともいえるだろう。
そのオスプレイ配備がいよいよ現実となっている。米海兵隊は普天間飛行場にオスプレイ24機を配備する予定。7月には12機が先行して配備されるという。
日本政府は自国の民の命を危険にさらしてまで、何のためにオスプレイの配備を推進するのだろうか。日米安保条約は一体何から何を守っているのか――。
不謹慎な言い方かもしれないが、「オキナワ」について興趣が尽きない。在日朝鮮人の問題を考える上で、「オキナワ」の歴史と現在に学ぶべき重要なファクターがあると思うからだ。
以前ブログで、“「北朝鮮の脅威」にどれだけ沖縄の人々がリアリティを感じているか”と書いたが、同時に、基地に反対する沖縄県民が朝鮮をどのような視線で眺めているのだろう、ということも気になる。一方で、朝鮮植民地支配に加担した「大和」としての歴史、朝鮮戦争時に沖縄が間接的に果たした軍事的役割を考えるとき、その逆もまたしかり。「オキナワ」を巡って、こんなことをぐるぐる考えている。言葉、思考が追いつかず、論点が飛躍してしまうが、沖縄と朝鮮、脱植民地化という共通した認識で共鳴し合えれば、と思う。沖縄が真に自主的に生きるために抵抗をつづける人々に思いを寄せている。(淑)