北南交易のいま
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先月の19日、6.15共同宣言実践日本地域委員会が主催するシンポジウムに参加してきた。
シンポジウムで興味深かった話を一つ。
「天安艦事件」後、韓国側が北南交易を全面的に中断するという内容を含んだ「5.24措置」を実施してきたが、それによって、北よりも南の方が大きな経済損失を受けたということ。
一方で、5.24措置の適用を唯一除外された開城工業地区(開城工団、黄海北道)では、5.24措置以降も経済規模が引き続き拡大しているそうだ。
開城工業地区には現在、123の南の企業があり、5万2000人の北の労働者たちが従事している。5.24措置以降も生産額は年々上昇しているという。
南の投資家たちにとって、開城工業地区は経済的利点が多い。工場を建てる敷地の初期分譲価格は韓国の約1/20、人件費も約1/10と安い。ソウルから約60km、車で1時間もあれば行ける地理的条件は物流面から見ても魅力的だ。
さらに、同じ民族ということで言葉の問題も難なくクリアできるし、そこで人と人との確かな交流も生まれる。統一朝鮮の縮図が、そこには広がる。
6.15共同宣言の第4項では、北と南が経済協力を通じて民族経済を発展させていくことが取り決められ、北南間の交易が盛んに行われてきた。
しかし2008年に執権した李明博大統領は「北南経済協力を求めているのは北」という風に決めつけ、朝鮮に対する制裁を目的に5.24措置を断行したのだが、韓国の現代経済研究院の調査によると5.24措置以降の韓国側の経済損失額は82億ドルに達したという。
一方の朝鮮は5.24措置を受け、対外貿易に力を入れてきた。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が先月1日に公開した「2011北韓の対外貿易動向」によると、2011年、朝鮮の対外貿易規模(北南交易は除外)が63億2000万ドルに達したという。集計を始めた1990年以降最大であり、2010年に比べ51.3%増加したとのこと。貿易のほとんどは中国との間で行われている。
5.24措置が朝鮮に対する制裁を目的としていたものの、実質的には朝鮮に投資をしていた韓国企業の首をしめる結果となり、韓国経済にダメージをもたらす様相が浮きぼりとなった。
祖国の統一は民族にとって、上記のような話を度外視した「プライスレス」な価値が絶対にある。しかし経済的観点から見ても、統一がもたらす利益はやはり計り知れないのだということを再認識させられた。(里)