沖縄・本土の疎通 ~沖縄取材記⑥
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既報のように今週月曜、新型輸送機MV22オスプレイが、地元の批判の中、岩国基地に強行的に陸揚げされた。
普天間基地へのオスプレイ配備をめぐる問題が連日のように報じられているが、沖縄の反対の声を丁寧にすくい上げるメディアは少ない。1週間ほど前にTBSのニュース番組が、普天間基地大山ゲート前での座り込みを報じており、実際に自分も取材した場所だっただけに注目したが、たった一人の短いコメントを紹介しただけ、一瞬で場面が切り替わってしまったので拍子抜けさせられた。
(対して、朝鮮の指導者に寄り添う女性については長々と尺を使って憶測や推測を好き勝手並べていた)
沖縄では、「沖縄と本土の報道には大きな隔たりがある」、との声を多数聞いた。
宜野湾市民大会(6月17日)、慰霊祭(同23日)、普天間座り込み(同25日)などで、人々に話を聞いて回ったが、「声を必ず届けて」と私を引き止めてまで訴える人、「どうせ少ししか報道されない」と取材自体を拒絶する人もいて、言葉の端々から、本土に対する諦観が見えてくるようだった。
改めてこちら(東京)からこの問題を眺めてみると、隔たりというよりむしろ、沖縄・本土間の疎通は遮断されているように思う。
オスプレイ配備計画をめぐって、「日本政府が『どうしろ、こうしろ』という話では基本的にない」と、恥も外聞もなく対米隷属ぶりをさらした野田首相の発言は、8月5日の県民大会に向けて声を合わせる沖縄を、初めから切り捨てるものだといえる。
以前のブログで、「沖縄に滞在しながらまだ一度も軍用機を見ていない」ということを書いたが、結果的には滞在11日目の最終日になって初めて、その姿を直接とらえることができた。その日は朝から夕方まで普天間にいたので、数十回は旋回するヘリやジェット機を見た。
基地に隣接する宜野湾市普天間第二小学校では、操縦士の表情までとらえられそうな距離の近さに、思わず一人で驚きの声を漏らしていた。
そんな中でも子どもたちは「普通に」学校生活を送っている。声をかけた多くの児童たちが「毎日だから慣れてしまった」と答えた。
ある6年生の女子児童2人と話している時、私が東京から来たこととの繋がりから、「東京ディズニーランドに行きたい」と言い出した。沖縄には東京ディズニーランドのような子どもたちが遊べる大型遊園地はない。2人たち曰く沖縄には広い土地がないから遊園地は作れないのだそう。そんな話をしていたら、片一方の児童が独り言のようにぽつりとつぶやいた。「広いのは基地くらいかな…」。最後に「普天間が返還されたら、何をつくってほしい?」と訪ねたら、2人は顔を見合わせて「遊園地だね」と素朴に答えてくれた。
基地と隣合わせの同校が抱える問題は、安全性や騒音などの問題にとどまらず、教育においても様々な理由から、単純な二項対立で「反基地」を唱えることはできない。保護者の中には軍関連施設に勤める人もいれば、アメリカ人と沖縄人の親を持つダブルの児童も通う。
同校に、基地賛成を唱える勢力から度々嫌がらせの電話があると聞いた。例えば、「基地があるおかげで贅沢な暮らしをしているくせに」など。著しく他者への想像力を欠いた現象に、朝鮮学校生徒たちに対する嫌がらせや暴言・暴行の問題を、否が応にも考えてしまった。日本社会のストレスの掃き溜めとしてぶつけられる暴力の問題、無知・無自覚ゆえつくられる歪んだ社会の構図もまた、私たちの置かれた状況と奇しくも重なってしまう。
以下、現在の沖縄の状況を詳細に伝えてくれるブログを紹介するので、見てほしい。(淑)
■海鳴りの島から 沖縄・やんばるより…目取真俊 http://blog.goo.ne.jp/awamori777
■ガッティンならん!怒りの普天間アクション 第二次普天間基地から爆音をなくす訴訟団公式ブログ http://futenma412.ti-da.net/
■辺野古浜通信 これ以上基地はいらない…辺野古の座り込み http://henoko.ti-da.net/
■やんばる東村 高江の現状 http://takae.ti-da.net/