いつまで長引かせる? 「高校無償化」審査
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「高校無償化」制度(2010年4月施行)から朝鮮高校が排除されて2年半近くが過ぎようとしている。昨年8月30日、当時の菅直人首相が一昨年11月の延坪島砲撃事件でストップしていた審査の再開を指示したが、1年以上が経った野田政権下の今でも結論は出ていない。
先日、関東地方在住の朝鮮学校生徒保護者の代表らが11日、文部科学省を訪れ、朝鮮学校への「高校無償化」制度即時適用を求める、野田佳彦首相と平野博文文科相宛の要請書を、同省職員に手渡した。
http://chosonsinbo.com/jp/2012/09/0911ry/
この報道によると、保護者の代表らは、審査手続き再開から1年以上が経つにもかかわらずいまだ何ら動きが見えないことについて文科省側に説明を求めた。これに対する担当者の答えは、「今はまだ審査を続けている段階であり、必要に応じて朝鮮学校側に書類の確認などを求めている状況だ」というもの。どのような問題に対して審査を続けているのかという質問に対しては、「(朝鮮学校に対する)『報道等による指摘』に対する事実確認を行っている」と説明した。
要は、朝鮮学校関連の報道がメディアで伝えられるたびに、その内容に関する事実確認を行っているということなのだが、これほど人をばかにした話もないだろう。その場にいてこの発言を聞いた保護者代表たちの怒りは想像に難くない。
これでは永遠に審査の結論を先延ばしすることも可能ではないか。文科省はこの間、一体何を調査してきたのか。何がそんなに時間がかかるのか。揚げ足取りのような報道にまでいちいち反応しているのだとしたら、審査など一生終わらない。それとも、引き延ばしの口実として使っているのか。どっちにしろ悪質には違いない。
審査再開後1年経った現在の説明としてはあまりにもひどい答えだ。今まで審査にかけた時間を考えると、文科省は「無能」のらく印を押されても仕方がないだろう。
朝鮮高校への「無償化」適用に一貫して反対している産経新聞は、「(日本)政府の判断が朝鮮学校や朝鮮総連の収入を左右する。拉致問題など対日外交を転換させるには、国は無償化を適用せず、自治体も補助金支出を停止すべきだ」という政府高官の発言を引用しながら、審査の結論が出ないと地方自治体による朝鮮学校への補助金支出を絶てない弊害もあるので、政府は判断を先送りせず朝鮮高校に「無償化」を適用しないという決定を早く下せと主張している。(MSN産経ニュース、8月30日 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120830/plc12083022530015-n1.htm)
衆議院解散、総選挙、政権交代が現実味を帯びてきているが、朝鮮高校に対する適用には断固反対の立場を示してきた自民党が執権したら、朝鮮高校には適用されないまま「高校無償化」制度がつぶれてしまう(あるいは骨抜きにされてしまう)おそれもある。
日本政府は今からでも制度の原点に戻るべきだろう。外国人学校に対する文科省の「適用基準」は、教育課程などが日本の高校課程に準ずるか否かを判断する内容で、教育内容は問わないとしている。制度の趣旨や審査基準からすれば、朝鮮高校には当然「無償化」が適用されなければいけない。いつまで長引かせるつもりなのか。(相)