衆院解散と高校無償化
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野田首相は、昨日の国会で16日解散を明言した。
安倍自民党総裁との党首討論で首相は、衆院の「一票の格差」について「…定数削減は2014年に消費税を引き上げる前に、まず我々が身を切る覚悟で具体的に実現しなければならない」として、「来年の通常国会で必ずやり遂げる」ことを約束。その様子を見ながら、高校無償化の「差別なき適用」の道筋をつけるのも政権を担った、それも、マニフェストの目玉としてこの制度を発足させた党首の責任だろうと、煮え切らない思いに駆られた。
総選挙の結果を占う力は筆者にないが、「無償化制度」がもし吹き飛んだら、誰がこの排除で得をしたか、ということを考えざるをえない。12日の国会質疑で自民党の小池百合子議員が、田中真紀子文部科学大臣に対し、「ドサクサにやろうという考えか」という脅しのような質問をしていたが、朝鮮高校がはずされてきたこの2年8ヵ月間は、朝鮮学校の民族教育を認めまい、とする勢力が「朝鮮高校=朝鮮総連=北朝鮮=悪」という言説を撒き散らすことに費やされた年月だった。それこそ、子どもたちを朝鮮高校に通わせている保護者たちは身を切りながら子どもたちに教育を受けさせてきたし、朝鮮高校生たちは、勉強や部活に費やすべき時間を削りながら、署名を集めてきた。それは、教育や学びの実態をふまえず、偏見を増幅させるこのやり方が許せなかったからだと思う。
何度でも言うが、「高校無償化法」には、各種学校認可を受けた外国人学校にも就学支援金を支給すると定められており、朝鮮高校はこれに該当する。
にも関わらず、文科省はわざわざ検討会議を発足させ、日本の高校に該当する外国人学校、国際的評価機関か認定を受けた外国人学校以外の学校について基準を設けたが、そこにも、「専修学校の水準を基本とする、指定にあたっては教育内容を基準としない、外交上の配慮などによるべきではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきである」としている。
菅前首相が、砲撃事件を受け、審査を停止するという超法規的な措置を取り、昨年8月末に審査再開がなされた後もいまだ「審査中」。決められない政治に翻弄されてきた2年8ヵ月だった。
沖縄ではオスプレイの強行配備に対する怒りが高まっているが、日本政府のやり方を見ると、戦後長らく続いてきた日本の構造的な差別というものにぶち当たる。
例えば、日本各地の米軍基地内にはアメリカン・スクールが設置されている。三沢基地に3校、横田基地に3校、座間基地に3校、横須賀基地に3校、岩国基地に2校、佐世保基地に2校、そして沖縄県に12校の計28校があり、在籍者数は約2万人に達する(1999年時点、「新訂国際化と教育」、1999年より)。
アメリカン・スクールはアメリカの国防総省の教育部門に位置づけられており、アメリカの軍人・軍属については外国人登録の必要がなく、日本政府が関与することもない。処遇において、朝鮮学校とは雲泥の差だ。
子どもの学びを応援するという、「高校無償化法」の趣旨は朝高排除でますます曇っていったが、この不平等は許されない。文科省は、自らが決めた基準にのっとって決めればいいだけだ。一票の格差も人権の問題、朝高生たちの学ぶ権利が奪われていることも同じ人権の問題だ。(瑛)
知りたいです
米軍基地内のアメリカンスクールも、高校無償化の対象になってるんですか?
Unknown
貴ブログの記事とは方向がはずれるかもしれませんが、韓国で近々こういう本が出版されるそうです。
元は「オーマイニュース」連載の人気記事だったとか。
http://sgwse.dou-jin.com/Entry/461/
在日同胞必読の書ですね!
井田様へ
井田様
お返事が遅れて申し訳ございません。
「高校無償化」の対象になるのは、日本国で各種学校の認可を得た外国人学校なので、米軍基地内のアメリカンスクールは、該当しません。基地内の学校は日本の法律に従う必要がないので、学校法人の認可も取得していないと思われます。
一方、各種学校認可を得ている東京の「アメリカン・スクール・イン・ジャパン」は「高校無償化」の対象となっております。
無償化の対象として認められた外国人学校については、文部科学省のホームページに掲載されています。ご参考いただければと思います。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1307345.htm
朝鮮学校の生徒さんは私のソンセンニム
私は39歳の日本人男性です。朝鮮語を勉強中です。まだ初級ですが。きっかけは朝鮮のすばらしい服飾文化ときれいな発音です。朝鮮学校の制服であるチマチョゴリはなんて素晴らしい制服なんだろうと憧れました。朝鮮高校化応援しています。ぜひ頑張ってください。