保障されて然るべき朝鮮人として学ぶ権利
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昨日の11月23日、「東京の朝鮮学校を支援する都民集会―朝鮮高校に『高校無償化』を即時適用させよう、東京都に『補助金』を従来どおり支給させよう―」(主催=同実行委員会)が、東京・九段下にある日本教育会館一ツ橋ホールで行われた。
「勤労感謝の日」だった昨日。祝日であったにも関わらず、集会には朝鮮学校関係者をはじめ、同胞、日本人の約600人(主催者発表)が詰め掛け、会場は満杯だった。
集会では、田中宏一橋大学名誉教授が基調講演を行ったほか、朝鮮学校生徒や保護者、卒業生、日本の支援者らが登壇して、活動を報告し、それぞれの思いを聴衆に訴えた。
東京朝鮮中高級学校3年のキム・ジホンさんは、「今日まで12年間、朝鮮学校で民族教育を受けてきて、僕は朝鮮人として学ぶことを誇りに思っています。しかし、民族の文化や言葉をもっと知りたいという僕たちの思い、声を、日本政府は政治や外交を理由に無視し続けています。当たり前のように差別がまかり通っている、不誠実で理不尽な社会を、僕は許すことができません。最後まで諦めずに闘っていきます」と話した。
現在東京大学で学ぶ大阪朝高卒業生の申泰革さんは、「朝鮮学校に通うことはそんなにいけないことなのか。祖父母や両親たちが守り継いできたものを学ぶことはそんなにいけないことなのか。絶対に違います」と、憤りで語気を荒げていた。
「高校無償化」問題をめぐる最近の動きを追うと、田中眞紀子文科相は10月、「高校無償化」制度からの朝鮮学校排除について、「審査に時間がかかっており、この内閣がそろそろ政治的な判断をする時期に来ている」と明言しておきながら、今月16日の衆院解散時の会見において、適用の判断を先送りする方針を示した。
また、自民党の義家弘介参院議員は、朝鮮学校への無償化適用を阻止することを目的とした「高校無償化法改正案」なるものを参院に提出。衆院解散によって廃案となったが、選挙で自民党が政権復帰した場合、この「改正案」を推進するとしている。自民党が政権を握り、もしも朝鮮学校だけを狙い撃ちする法改正がなされるようなことがあれば、画期的な「無償化法」の理念は根底から覆り、国際社会からのさらなる批判は免れないだろう。だが、是が非でも朝鮮学校を認めまいと難癖をつけ結論を先送りにしてきた3年間を思い返すとき、現状は重く、暗雲は拭えない。
集会では東京中高の生徒たちによる歌や踊りのコンサートも披露された。フィナーレを飾った合唱「우리 학교는 우리 고향이다(ウリハッキョ~心のふるさと~)」では、客席から自然発生的に起こった手拍子が、染み渡るように会場全域に広がっていった。その光景に、たくさんの人たちの、朝鮮学校で学ぶ子どもたちを、朝鮮学校を支え守ろうとする目には見えない思いを、手触りとして感じるようだった。朝鮮学校を潰そうとする政府による不条理な圧力にさらされながらともにした3年間の抵抗の歩みは、蓄積された屈辱や痛み、怒りは、私たち自身にとって、決して小さくない力となっていることを確信し、勇ましく思う。
そして今日まで多くの人たちが数々の言葉を尽くして訴えてきたが、何度でも繰り返し言わせてもらう。私たちが日本で朝鮮人として学ぶことは、保障されて然るべき疑いようの無い権利なのだと。(淑)