絵本「戦争のつくりかた」
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同書の出版に携わった知人からいただいた本です。
2004年に出版された「戦争のつくりかた」という本で、日本が「戦争をできる国」になるまで、私たちの身の回りでどのようなことが起こるのかその過程をたどったものです。
出版の背景には、有事関連法の成立(04年6月)があります。
衆議院で有事法案が審議されているさなか、法案成立に危機感を抱いた人々が「成立をやめよう」広く呼びかけるため、と議論を重ねてこの本が出来上がりました。
本は小学校低学年でも無理なく読めるほど平易な文体で書かれていますが、物語は有事関連法をはじめ法律や法令、国会答弁の内容などにもとづいています。
たとえば、
p14「だれかのことを、いい国民ではない人かも、と思ったら、おまわりさんに知らせます。」
というのは、国民保護法第43条や02年文科省発行の「心のノート」に根拠があります。
逆説的には、国家が人々の見えないところで戦争を行うための法整備を着実に進めている実態を暴く、という意図も見受けられます。
巻末には、上記のような本の内容の根拠と出自の資料が付されています。
ページ毎に添えられたシニカルな挿絵にも、焦燥感を掻き立てられます。
また、日本が「戦争できる国」になったときに、多くの被害を被るであろう外国籍の人々にもこの本を届けたいとの思いから、英語対訳も添えられています。
発刊当初、大手新聞社などのメディアでも取り上げられ注目を集めた同書ですが、安部政権への警戒心からか、知人いわく最近またこの本を手に取る人が増えているそうです。
第1次安倍政権は教育基本法を改定し、憲法改正国民投票法を成立させました。安倍施政下の向こう数年間、戦争をするためのシステムを完成するために、現政権がどのような動きをするのか、片時も目を離してはいけないと思います。(淑)