「高校無償化」問題、新たな闘い始まる
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問題の浮上から早3年。朝鮮学校への「高校無償化」適用をめぐり、ついに法廷闘争の火蓋が切って落とされた。
国家賠償請求訴訟を名古屋地裁提訴した愛知と同時刻、大阪でも学校法人大阪朝鮮学園が、「高校無償化法」の規定にもとづき朝鮮学校を「無償化」適用対象に指定することを求め、国を相手に大阪地方裁判所に提訴した。原告、弁護団、大阪朝高卒業生、支援団体などの代表らが大阪地裁に訴状を提出。その後大阪司法記者クラブで記者会見が行われた。
今回の大阪と愛知の裁判は訴訟形態がそれぞれ異なる。愛知が国賠訴訟であるのに対し、大阪の裁判は「義務付け訴訟」。「高校無償化」法の規定に基づいて朝鮮学校をその対象としないことは違法であるとして、「高校無償化法」の施行規則第1条第1項第2号ハの規定基づく指定を求めるものだ。訴状では「高校無償化法」の概要と認定基準を明記し、国際人権法に基づき「高校無償化」からの朝鮮学校排除の違法性を明らかにしている。また、朝鮮半島の砲撃事件を理由に適用手続きを停止するなどの文科省の不作為に触れ、「日本で生まれ育った生徒達が影響を与えられるはずもない外交的・政治的な問題によって不利益を与えることは、人々に対して、朝鮮学校の生徒に対する誤ったメッセージを伝え、差別意識を助長する重大な人権侵害行為である」としながら、「このような理由による審査の停止は、明らかに考慮してはならない事項を考慮した、裁量権の逸脱・濫用行為である」としている。
弁護団団長の丹羽雅雄弁護士は会見で、依然として審査の結論が出されない中、省令改訂による朝鮮学校「完全排除」を目論む安倍政権の動きを受けて、やむなく提訴に踏み切った経緯を明らかにした。そして、「この裁判は日本社会がさまざまな文化を持った子どもたちとともに生きていけるか否かを問うものであり、共生社会をつくる試金石となる。この問題をきちっと解決することが東アジアの平和の構築につながる」と、今回の裁判の意味を語った。弁護団によると、省令改訂が現実となった場合、別の訴訟形態で提訴することも念頭に置いているという。
一方、22日には大阪府と市による補助金不支給をめぐる訴訟の第2回口頭弁論が、大阪地裁大法廷で開かれた。大阪では「無償化」と補助金の二つの裁判をめぐる熾烈な闘いの日々が始まっている。
第2回口頭弁論は、大阪地裁に集った約140人の傍聴希望者から、その関心の高さが示された。原告である大阪朝鮮学園側は意見陳述で、朝鮮学校の歴史的経緯と日本政府による差別政策、補助金支給に至る経過について説明しながら、本訴訟は、差別の歴史を繰り返すのか否かを問う訴訟であると結論づけた。次回は2ヵ月後、4月11日に第3回口頭弁論が行われる。
在日同胞の民族教育の権利獲得をめざす長きにわたる闘いは今まさに、新たな局面を迎えているといえる。大阪と愛知で国を提訴した同日、東京・文科省庁舎前でも同時行動が行われた。今回の同時提訴を端緒とし、運動が大きなうねりとなり全国に広がっていくことを期待したい。「高校無償化」問題はますます長期化が見込まれ、これまで以上に幅広い支援が求められている。
弁護団の一員で朝鮮学校出身の具良弁護士は、「日本政府による朝鮮学校への差別政策は時代を変え、場所を変え繰り返されてきた。その都度在日同胞たちはもぐらたたきのように闘い続けてきたが、根本的な部分で闘わなければこの先も同じようなことが繰り返される」としながら、「大阪と愛知、国を相手取った法廷闘争によって民族教育権獲得運動は今、歴史を変えるスタートラインに立っている」と語っていた。(淑)
嫌韓も嫌朝も氏ね
記事とは直接関係ありませんが、こんな「事件」ご存知ですか?
http://mainichi.jp/select/news/20130128k0000e040180000c.html
高校無償化問題ともレイシズムで根がつながってる問題だと思います。