李冽理選手、接戦の末ドロー
広告
「負ければ引退――」。
先週の2月20日、朝鮮大学校出身で元世界チャンピオンの李冽理選手が、後楽園ホールで行われた東洋太平洋フェザー級王座決定戦に臨みました。フィリピンフェザー級王者のシリロ・エスピノ選手(30)と対戦し、ドロー。
今回の試合は李選手にとって、自身のボクシング人生をかけた一戦でしたが、悔いの残る結果となりました。
今回、冽理選手は試合に備えて、一ヵ月間、韓国で強化トレーニングを行い、一から鍛え直したといいます。
試合前、冽理選手の兄・李哲理さんは、「ここ最近、試合で思うような結果を出せていない。本人は『初心に戻ってボクシングに臨む。与えてもらったチャンスを手にしてもう一度世界にチャレンジしたい』と話していた。大事な一戦、自分のボクシングを信じてベストを尽くしてほしい」と話していました。
冽理選手は、4回、8回の公開採点で0-2と相手にリードされ、終盤に接近戦で反撃し、判定にもつれこみましたが、結果は1-1でした。
冽理選手は試合後、「極度の緊張で足が動かず、ペースをつかむのに時間がかかった。また弱点が出てしまった」と肩を落としながらも、「同胞たちの声援は届いていた。期待に応えられず残念な結果になったが、応援してくれた皆さんに必ず恩返しをし、今後も同胞のために尽くしていきたい」と話していました。
会場に詰めかけた同胞は約300人。冽理選手に終始熱い声援を送っていました。
会場には、日本ウェルター級タイトルマッチを3月に控える尹文鉉選手の姿もありました。文鉉選手は、「世界タイトルを獲ったときより技術は確実に高くなっている。フットワークも健在で、体力も衰えていない。まだまだ現役でがんばってほしい」と、朝鮮大学校時代の先輩でもある冽理選手に、エールを送っていました。
元世界チャンピオンの名と同胞の期待を一身に背負う冽理選手のプレッシャーは並大抵のものではなく、ボクシングの過酷でストイックな精神世界は、私などの素人には到底図り知れないものだと思います。ですが冽理選手には、積み重ねた努力を信じて次につなげ、またきっと同胞たちに勇姿を見せてほしいと思います。(淑)