東京オリンピック開催決定に思う
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2020年の夏のオリンピックの開催地が東京に決まりました。
日本時間の7日夜、東京招致を目指すブエノスアイレスでのプレゼンテーションで、安倍首相は福島第1の汚染水問題に触れ、「福島第一原発の状況はコントロールされている。東京にダメージを与えることはない」とのべ、「2020年のオリンピックが安全にきちんと実行されることを保証する」と明言しました。また、質問に対し、「結論から申し上げれば、まったく問題ないということであります。汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされています」と答えました。
招致のためにまったくデタラメのことを言ったわけです。汚染水問題については、まったく問題ないどころか、日々問題は深刻になっている。
オリンピックの是非は横においておくとしても、オリンピックが「景気回復の起爆剤」になるという日本政府の思惑・宣伝も何の根拠もなく一部の利権をもっている金持ちがさらに金儲けをするだけです。これから7年、一般人は少しの「おこぼれ」で目を塞ぎ、開発の名の下に環境が破壊されたり弱者が切り捨てられると多くの人たちが指摘しています。
オリンピック招致に関し、日本のマスコミの報道を見ていると、「日本に住んでいる人たちみんなが東京オリンピックを期待している」という伝え方をしてきました。招致が決定した日曜日からの報道の喜びようは異常です。政党も同じです。しかし、私のツイッターのタイムラインに流れてくる意見を見ると、ほぼ100%、東京オリンピックに反対するものばかりでした。その落差に、「本当に同じ国に住んでいるのか」と思うほどです。まあ、私がそんな人たちばかりをフォローしているからなのでしょうが…。しかし、マスコミ報道ではそんな人間は一人もいないという感じです。東京オリンピックに真っ向から反対するコメンテーターをテレビで一人も見たことがありません。もし反対するようなことを言ったら、そのコメンテーターは2度とテレビに出演させてもらえないのではないでしょうか。
オリンピックの是非は横においておくとしても、オリンピック歓迎の社会的空気が作られて、反対する意見はあるにもかかわらずかき消されてしまう。それが恐ろしいことだと思っています。「北朝鮮憎し」の社会的空気も強固にできあがり、それに反対する意見があるにも関わらず黙殺されているのと同じように。
これから7年間、「ニッポン、ニッポン」の連呼の中で、例えば「君が代・日の丸」に反対する声もかき消されていくのではないですか。日本政府による在日朝鮮人や朝鮮学校に対する差別・弾圧を、われわれは反対し「やめてくれ」と訴え続けているわけですが、そんな声もかき消されてしまうのではないですか。オリンピックに反対する人たち、日本政府にとって「都合が悪い」人たちがどんどん排除されていくのではないですか。そんなことを真剣に憂慮しています。
ところで、7年後の私ですが、取材し発信する者として現役でいるでしょうか? 朝鮮から選手団が参加するならぜひ取材したいですが、その時の朝鮮半島をとりまく情勢がどのようになっているのか、気になります。(k)