3世の食卓
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実家ぐらし、というのは言い訳に過ぎませんが、家では全くと言っていいほど料理をしません。毎日のお弁当で玉子を焼くくらいです。それでも20代前半の頃は料理本を見ながらあれこれチャレンジしたものです。
娘が(息子たちも)こんな体たらくなので、子どもたちが大人になった今も母の手料理が家族みんなの胃袋を満たしてくれています。
在日2世である母がつくる料理は、おかずもスープも圧倒的に朝鮮料理が多い。とくにスープのバリエーションは豊富で、たまに出てきた味噌汁に「今日はハズレだ…」なんて思ったりします。盛り付けも大皿に豪快にどん! それをみんなで囲みます。「足りないのがいや」という母は大量につくるのが癖で、食材をダメにすること多々。そんなところも1世を思わせます。
小学生の頃、友達の家に遊びに行ったとき、テーブルに並んだ家庭料理にびっくりしたのをよく覚えています。各々のランチョンマットの上に、優しい味のお惣菜や炊き込みご飯などが小鉢などに上品に盛り付けられており、そのテーブルコーディネートは、小学生の私にとっては小さなカルチャーショックでした。
日本は飽食の時代、わざわざ遠くへ行かなくても世界各国の食文化に触れることができます。もちろん、世界の食糧危機はもとより、日本の食料自給率や原発による食料汚染を考えれば手放しで喜ぶことはできませんが。
韓流ブームに伴って朝鮮料理店も乱立し、日本全国どこでも朝鮮料理を食べることができます。
日本社会の変化に影響を受けながら、1世から2世へと受け継がれた朝鮮の食文化。いま、在日3世の家庭ではどんな朝鮮料理が、どれくらい並ぶのでしょうか。毎日の食卓にキムチはあるのでしょうか。
イオでは創刊時から手を変え品を変え、たくさんの料理企画をつくってきました。一般の家庭料理から、宮廷料理、朝鮮八道を料理で旅した企画もありました。在日同胞の暮らしと味覚にあった新たな食文化創造にもなれば、そんな思いを込めて、来年の料理ページを準備しています。(淑)