東京駅で平壌に出会う
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昨日、東京駅に向かう道で思いがけなく平壌の風景に出会いました。
大手町駅から東京駅につながる地下通路をなんとなしに歩いていたら、世界各国のさまざまな写真が展示されており、そういえば、と、AP通信社の写真展が開催されていることを思い出しました。
現在、丸ビルと新丸ビルの間にある行幸地下ギャラリーで開催されている「A VIEW OF DAILY LIFE ~世界五大陸の日常風景~」では、AP通信社のフォト・ジャーナリストが撮影した世界の文化や遊び、お祭り、食事、動物、子どもたちの姿など、56点を観ることができます。
平壌の写真も数枚あったはず…と、少し速度を落として進んでいくと、ありました。
展示されているのは、写真上から順に「ゲームを楽しむ兵士たち」「未完成」「カラオケ」の3点。
上記を含め展示の写真には、それぞれのカメラマンによるコメントも掲示されており、それが見どころで、デビット・グッテンフェルダー氏による「カラオケ」には、次のようなコメントが添えられています。
「『ノレパン』と北朝鮮で呼ばれているカラオケは、この国で最も人気のある娯楽です。平壌にあるレストランや他の街でも、ノレパンをいたるところで見かけます。北朝鮮で働くアメリカ人フォトグラファーの私にとって、北朝鮮の同僚たちと飲みに行ったりノレパンで歌うことは、交流を深めるためにとても大切なことです。国家間の大きな政治的論争を超えて、個人間でお互いに理解することが重要なのです。歌はそれを助けてくれます。」
平壌に欧米系の主要通信社としては初となるAP通信社の支局が開設(2012年1月)されて2年。写真は、アメリカ人のカメラマンが平壌市民たちと朝鮮の娯楽を通した交流で、自分自身と朝鮮という国との距離を縮めていく様を、ごく自然に伝えてくれています。また、このような朝鮮の日常風景が、他国の写真とフラットに展示されている点もよかったと思います。写真展は4月22日まで。東京駅にお立ち寄りの際は、寄り道してみてください。(淑)
ちょっと意外な気も
東京駅のような、大げさに言えば政府・皇室との関係も浅からぬ「特別な」パブリックスペースに、平壌の日常をただ切り取ったような(すなわち「政治的・反北プロパガンダ的でない」)写真の展示が許されるんですね。ご時勢からみてもちょっと意外な気もします。
まあそれらの写真の展示スペースは、AP通信と契約のうえ使用を許された「広告スペース」でもあるわけですからね。「広告主」が契約に反しないかぎりでどう利用しようと自由ってモンですが。
それにしても楽しそうだなこのゲームやってる彼(笑)。
Kim Shirly
コメントありがとうございます。
まったく、私も同じことを思いました。大手の参入により、このような写真が日本でももっと多く、自然に観られるようになればいいと思う反面、日本の対米追従主義に迎合するようで反発心も覚えます。苦笑
ゲームの写真は、3枚のうち真っ先に目に飛び込んできた写真です。大都市・東京の駅で、見慣れた軍服、快活な表情のかれを見れて、なんだかうれしくなりました。