独身実家族
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最近のできごと。自宅のリビングで何気なしにテレビを見ていたら、とある情報番組で「独身実家族」なんてテーマを取り上げていました。
なんでも、30歳を超えて独身で実家に暮らす人のことを「独身実家族」と呼ぶそうです。つまり、「働かない」「結婚しない」「実家から出ない」の三拍子で、親の老後の財産を食い潰して生活する人のことなんですと。
チャンネルを変えずにしばらく見ていると、リビングに不穏な空気が流れ、背後からなにやらいや~な予感が。案の定、台所に立っていた母が一言。
「うちのことだ」
…
いや、オモニ、オモニの子どもたちはみんなまじめに働いてます。
わが家の話はさておき。日本政府の調査によると、35~44歳の男女で親と同居する未婚者数は、295万人。その割合はこの年代の約6人に1人が実家暮らしで、これは30年前の約8倍に値するそう。番組では「子の自立を促すためのノウハウ」みたいなことも紹介していました。
「独身実家族」って…、おいおい。そもそも「働かない」「結婚しない」「実家から出ない」を全部同列視して「半人前」みたいに括るのってどうなの?
まず「結婚しない」のはまったく悪いことではなく、結婚するしないは一個人の人生における選択だし、「働かない」だって、就職氷河期と呼ばれて久しい今、多くの人が不安定な非正規雇用や失業に甘んじざるを得ない社会状況があります。「実家から出ない」も様々な理由があり親の介護をしている人だっていますよね。まったく、想像力の欠如したナンセンスなネーミング。こうした言葉がおもしろおかしく多用されて、多様な生き方に対する無理解が広がっていくんじゃないかとため息が出ます。以上、〆切前のぼやきでした。(淑)