黄色い帽子と横断歩道
広告
ハッキョの校門前に、「横断歩道がない!」ことに気づいたのは、恥ずかしながら3年前のことだった。
3年前とは、第一子の長男がハッキョに入学したとき。
今まで何度もハッキョに足を運び、何度も同じ道を歩いていたのに、わが子と歩きながらハッキョの門を前にした時、初めて横断歩道がないことにハッとした。人間、自分の問題に置き換えないと、見える景色も、見える現実も違ってくる。愚かなものだ。
4年生になった長男は、朝8時になると、家を飛び出す。近所の日本の子どもたちと学校に行くためだ。
1年生の長女はその後ろをついていくのに必死。バタバタとしながら送り出すのに、こちらも必死だが、きょうだいが一緒にハッキョに向かう光景、地元の日本の子どもたちと仲良くしている姿は中々いいもので、 数日前、息子と娘を送り出した後、しばらく後ろ姿を見ていた。
日本の小学生たちは、黄色の帽子に黄色のランドセルカバー。ウリハッセンは何もかぶっていない。1週間前に、朝鮮学校の処遇改善に取り組む日本の方々がハッキョに見学に訪れた際、ウリハッキョを取り巻く厳しい状況と課題を共有したこともあって、その後ろ姿に考えこんでしまった。
いつだったか、町田市が市内にある西東京朝鮮第2初級学校の子どもたちに防犯ブザーを支給しない、と決めたことに抗議が殺到、市はそれを撤回したが、不支給の対応に「子どもの命」に優劣をつけるのか、と憤りを覚えた。朝の光景もこれとまったく同じではないか-。
ハッキョの前には、横断歩道はおろか、ガードパイプもなければ、「子ども飛び出し注意!」の表示もない。
この問題については、地元の友人たちと、「何とかしなきゃ」と話し合ってきたことだが、実現できていないのは、意志不足、力不足の一言に尽きる。西東京や埼玉で実現させたよい先例があるので、「まずはフィールドワークや勉強会から始めよう」とオモニたちで話し合っている。(瑛)