金福童ハルモニが朝大訪問―いつまでも、待てない
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6月3日、朝鮮大学校に日本軍「慰安婦」制度被害者の金福童ハルモニ(88)が訪問しました。私も取材のために駆けつけました。朝大に被害者本人が訪問するのは初めてのことです。ハルモニは朝大訪問が可能だということを聞くや、午前中だった飛行機の便をキャンセルして、朝大に駆けつけたといいます。
金福童ハルモニは昨年、東大阪朝鮮中級学校を訪問、朝鮮学校の子どもたちと出会えたことを非常に喜んでいたそうです。今回もぜひ朝大の学生たちに会って話をしたいと、高齢にも関わらず予定を変更したのでした。
金福童ハルモニは韓国挺身隊問題対策協議会の尹美香常任代表らと共に午前11時に朝大に到着。講堂で学生、教職員が出迎えました。金さんは花束を渡されると手を高く振って喜びを表していました(写真)。
金福童ハルモニがまず話をされました(写真)。ハルモニの話の中で特に印象に残っているのは、植民地時代の民族の悲劇について語りながら、韓国の政治状況、分断の現実に触れ、「我が国は本当の意味でまだ解放されていない」と言われた一言です。そして、「戦争は絶対にいけない。祖国が統一し、二度と血が流れないようにしなければいけない。そのために学生たちが一生懸命勉強してほしい」と学生たちを激励。最後に「日本政府は過去を謝罪し賠償をしなければならない」と訴えておられました。
続いて尹美香さんが、「金ハルモニは人権活動家として世界各国で精力的に活動されてきた」と紹介しながら、「南北関係が緊張している状況でも、『慰安婦』問題解決のために民族が一つになって闘ってきた。みなさんもハルモニと手を取り合って最後まで闘ってほしい」と学生たちに語りかけました。
朝大生2人が感想と決意をのべたあと、学生から金福童ハルモニにプレゼントが贈呈されました。アルバムのようなもので、朝大生たちが毎週金曜日に文科省前で行っている「高校無償化」問題の抗議行動などの写真が貼ってあったように見えましたが、確かではありません。ハルモニと尹さんが頼もしそうに見ていたのが印象的でした(写真)。
そしてなんと、金福童ハルモニから学生に支援金が手渡されました(写真)。被害者でありながら、在日同胞の次世代のためにできるだけのことをする、その思いにその場にいた皆が感動していました。
最後に、学生たちが準備した小公演を喜び拍手を送っていました。
金福童ハルモニ一行は、学生たちと記念写真を撮影した後、強制連行真相究明サークルで活動する学生たちと共に食事し(写真)、懇談会も持ちました。ハルモニは食事をしながら歌をうたうなど、終始上機嫌でうれしそうでした。
最後の写真は、朝大を離れる金福童ハルモニ一行を見送る強制連行真相究明サークルの学生たち。最後まで手を振っていました。
金福童ハルモニら日本軍「慰安婦」制度の犠牲者たちは、日本の国家犯罪を白日の下に明らかにし告発する生き証人です。本来、日本政府は、被害者たちの訴えに誠実に向かい合い、心から謝罪し、それなりの賠償をしなければなりません。
しかし、日本政府は破廉恥にも、被害者のハルモニたちを前にしても過去を否定し責任を回避しようと躍起になっています。
日本政府は、被害者たちがすべていなくなるのを待っている。それがどれほど罪深いことでしょうか。
日曜日に悲しいニュースが流れてきました。この日、日本軍「慰安婦」制度の被害者のひとりである春姫ハルモニが、老衰のため共同生活を送る「ナヌムの家」(京畿道・広州)で逝去されたと、南の聯合ニュースが伝えています。「これで韓国政府の認定を受けた慰安婦被害者237人のうち、存命者は54人となった」と報道されています。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2014/06/08/0800000000AJP20140608000100882.HTML
前回の私のブログは、「わたし待つわ」というタイトルで、「祖国統一や、朝米、朝・日関係改善を待ちたい」ということを書きました。しかし、いつまでも待てません。
被害者のハルモニたちがおられる間に、必ず日本政府に、心からの公式な謝罪と賠償をさせなければなりません。時間はありません。(k)