集団的自衛権と焼身自殺とこれからの日本
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昨日、集団的自衛権の行使容認が閣議決定がされた。6月30日、7月1日と首相官邸前で数万人の人たちが集まり反対の声を挙げ日本各地で抗議行動が繰り広げられたが、強行された。
当然、ニュースでも大きく取り上げているが、6月30日にはこのニュースと共に、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射のことも大きく扱っていた。論調は、1日からの朝・日協議を前にミサイルを発射するのはけしからんというもので、新聞にも「北のゆさぶり?協議前にミサイル、高まる不信感」(読売新聞)などのタイトルがおどった。
いつものように「北朝鮮の脅威」を煽っているわけだが、朝・日協議当日の集団的自衛権を認める閣議決定が朝鮮にどれだけの脅威を与えているのか、ということにはまったく考えがおよんでいない。
日本が集団的自衛権を認めることで戦争のできる国にどんどんなっていく、その根本原因は、過去の侵略戦争を本当に反省しなかったから、過去の国家犯罪を清算しなかったからだ。犯罪にまみれた過去の歴史を修正しようという動きはますます露骨になってきている。そして、日本の植民地支配によって生まれた在日朝鮮人に対する弾圧、差別もエスカレートしている。
同じようなことは昨年12月13日の日刊イオ「特定秘密保護法とカナリア」でも書いている。Http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/9b08721f063e95568e3721ee96e05b16
各種の抗議行動の中で、「このままでは北朝鮮のような国になってしまう」というような発言が何度もあったと伝え聞いているが、こんなことを言っている間は、何も止められない。
今回、集団的自衛権の問題と関連し、たいへんショッキングなニュースが飛び込んできた。6月29日の日曜日、JR新宿南口近くで男性が焼身自殺を図ったのだ。集団的自衛権容認に反対するための行動だったと伝えられている。日本で政治問題に抗議して自殺を図るというのは個人的に記憶がなかった。1970年11月25日に三島由紀夫が切腹自殺したことがあったが意味が違う。調べてみると、ベトナム戦争に反対し焼身自殺した方などがいたが、日本では焼身自殺は起こらないという自分勝手な思いをもっていたので衝撃だった。
焼身自殺というと、韓国の全泰壹青年のことが真っ先に頭に浮かぶ。朴正煕独裁政権時代の1970年11月13日、ソウルの縫製工場で働いていた全泰壹青年は幼い労働者たちの待遇改善も求めて焼身自殺した。その志を多くの人々が受け継ぎ、民主化闘争、労働運動が燎原の火のごとく広がっていった。韓国ではその後も多くの人たちが政権に抗議し自らの命を絶っている。
ちょうど、全泰壹青年の母親である李小仙さんの伝記「この身が灰になるまで―韓国労働者の母・李小仙の生涯」という本を読み終えたばかりだった。
日本社会は今後、どこに向かっていくのか。それを決めるのは、どのような闘いを起こし広げるかにかかっているのだと思う。(k)