私はあなたの話が聞きたい
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前回の日刊イオでも書きましたが、秋は芸術に関するイベントが盛りだくさんですね。その中でも私がぜひ足を運びたいのが「武蔵野美術大学芸術祭」。こちらで、朝鮮大学校美術科と武蔵野美術大学の学生らによる合同展示が開かれます。芸術祭での合同展示は去年に引き続き2回目になります。
詳細については、ただいま絶賛準備中の制作者がこちらで綴っています(本人に転載許可をもらいました)。→http://ameblo.jp/chodemi/entry-11932328955.html
私ももともと絵を描くことは好きでしたが、「観る」のはあまり得意ではありませんでした。どのように観るといいか、どのくらい観たらいいのか、なにを考えるべきなのか分からなかったからです。もちろん自由でいいのでしょうが、もう少しヒントが欲しいなあとよく思っていました。
そんな私が鑑賞好きになったのは大学4年の時です。朝大の美術科で学ぶ同級生の友人が、校内で個展を開くということで行ったのがきっかけ。会場には、ハガキ大の紙にパステルで描かれた作品が百数点並んでいました。そこで直接、個展のテーマや作品に対する思いを聞きました。その話がとても面白かったのです。
彼女は小さい頃、郵便配達員になりたかったそうです。理由は「届け物と一緒に、人々に幸せを運ぶ姿がかっこよかったから」。
今は郵便配達員にはなれないけれど、自分の絵を通して観る人に何かを届けたい。だからハガキの大きさの紙に描いた―。いつかはなくなってしまう「かたちあるもの」を、それが存在したということだけでも留めておきたかった。観てくれた人が、「この色はあの時の感情に似ている」と、自分の心の中にある感情を引き出すきっかけになれば嬉しい―…。彼女の話を聞けば聞くほど、その空間に込められた気持ち、絵の意味が伝わってきて、納得・感動!という、今までにない体験ができました。そのまま詩や小説にしてもいいくらい、素敵で温かい話です。
それからというもの絵を観る時は、可能であれば制作者の話を聞くようにしています。感動が2倍にも3倍にも膨れ上がります。去年行った冒頭の合同展示でも一つ一つの作品について丁寧に解説してもらい、やっぱり納得・感動!だったのでした(その時の日刊イオです)。→http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/9acfdf10a70f9135abd62273f1fcef51
今年の展示への期待も高まります。その際もやはり作品に対する話を聞いてみたいです。芸術祭はどなたでも参加できるので、興味のある方はぜひ展示会場を訪ねてみてください。(理)