大阪で補助金裁判、府の暴論に反論
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昨日のブログにあったように、10月1日、大阪地方裁判所で「補助金」裁判の第11回口頭弁論が行われ、同胞や朝鮮学校を支援する日本人とともに傍聴してきました。
大阪の「補助金」裁判は、大阪府と大阪市が朝鮮学校に対する補助金の交付を打ち切ったことに対し、大阪朝鮮学園が2012年9月、補助金を不支給とした行政処分取り消しと交付の義務付けを求め大阪府と市を提訴したことに始ります。
私も(瑛)さんと同じように、見事に傍聴の抽選に外れましたが、某朝鮮学校の校長先生が譲ってくださり、傍聴することができました。
裁判では原告の大阪朝鮮学園側代理人である木下裕一弁護士が意見陳述を行いました。
木下弁護士の意見陳述の内容は大きく2つで、一つは、大阪府の「1条校になる道があり1条校になれば補助金が支給されるのだから1条校になれば良い」という主張に対しての反論で、2つ目は、大阪府が1960年代の国会議事録を引用して、外国人学校の制度化が各種学校のうち職業教育を行う各種学校を制度化するにあたって、副次的に議論が行われていたものに過ぎないとした主張に対しての反論でした。
ここでは、ひとつ目の「1条校になる道があり1条校になれば補助金が支給されるのだから1条校になれば良い」という主張に対しての反論について、その内容を4つに要約して報告したいと思います。
第1に、1条校になればという言辞、発想自体が暴論だと言えるとしながら、理由として、①「1条校」とは「日本国民」の国民教育のための法制度であり、「外国人学校」にこれらに合わせよというのは原理的に筋の違う話であるということ、②朝鮮学校の教育の主な目的のひとつが民族教育、朝鮮民族としてのアイデンティティの確立にあり「1条校」における学習指導要領を前提とした教育実践とは矛盾するものであること、③1条校の教育は基本的に日本語で行われるはずのものであり、授業や学校生活全てを基本的に朝鮮語で行う朝鮮学校の教育実践は維持できず、地理や歴史についての教育は当該本国から見た視点を基軸になされるはずのものであり学習指導要領及び検定教科書とは矛盾すること――と主張、「1条校になれば良い」という言辞は朝鮮学校の存在自体を否定するものとした。
第2に、補助金という公的資金による助成は、特段の事情でもない限りは、後退禁止・平等取り扱い等の制約を受けるもので、府や市の自由裁量などではないこと。教育内容に着目して補助金を増減するといったことも、公権力による教育内容への不当な介入であり許されない。「1条校」の教育内容に同調しないのであれば補助金をカットするという施策は、明らかに裁量権の逸脱濫用であり差別であり違法であるとした。
第3に、大阪府が1条校となった4法人の外国人学校を引き合いに出していることに対して、上述のように、1条校であることは外国人学校の教育実践とは原理的及び最も重要な点において矛盾するものであり、1条校の「例がある」ことによって何ら変わるものではないこと。「韓国語」の授業を「週に4時間」程度しか行えないなどの大きな制約があることなどを主張した。
第4に、「本国との関係」を問題視されること自体の不当性について主張した。
①「本国との関係」があることは、「外国人学校」である以上当然のこと、②日本の外国人学校に関する法制度もこのことは当然の前提としており、外国がする教育内容を尊重し日本の制度における平等取り扱いを認めており、またその前提として、本国との関係、影響についても承認していると言えること、③朝鮮学校の場合のみ、朝鮮民主主義人民共和国との関係、朝鮮総聯との関係を問題視すること自体が差別的取り扱いであり平等原則違反であること――と主張した。
口頭弁論終了後の集会では、木下弁護士が今日の意見陳述の内容について説明しました(写真)。続いて、弁護団長の丹羽雅雄弁護士が発言、朝鮮学園の理事や教員、保護者、生徒、卒業生らの陳述書を用意しており、次回の口頭弁論で提出する予定であることや、保護者全員に対する学園側のアンケートも進めていることなどを報告しました。「子どもたちの教育の権利の問題は普遍的な人権である。これについて、国際人権法の視点から主張していく」と語り、「あくまでも個人的な感覚として、裁判は4合目に差し掛かったころだと思っている。これからが正念場。弁護団みんなでがんばっていきたい。引き続き支援をお願いしたい」と呼びかけました。
次回、「補助金」裁判の12回口頭弁論は12月10日11時から行われます。
また、大阪の「無償化」裁判は11月14日(金)の11時(10時半集合)から大阪地裁で開かれます。その日は東成区民センターの大ホールで朝鮮学校支援の大きな集会が開催されます。(k)