「祭り」の後で
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韓国の仁川で行われていたアジア競技大会が先日、16日間の熱戦に幕を下ろした。
オリンピックやサッカー・ワールドカップほどではないが、自分の仕事にも関係するとあって、この間、朝鮮民主主義人民共和国の選手たちの成績を中心にそれなりの関心を持って大会をフォローしてきた。現地の雰囲気については、イオ編集部と同じフロアにある朝鮮新報の記者が現地から送ってくる記事や写真の数々を見ながら想像するしかないのだが…。
今大会、朝鮮は14種目に出場し、金メダル11個、銀メダル11個、銅メダル14個、合計で36個のメダルを獲得し、金メダル数の国別順位では7位に入った。一方、ホスト国の韓国は国別順位で2位となる金メダル79個を含め、合計234個のメダルを獲得した。
朝鮮の金メダルはサッカー、重量挙げ、レスリング、卓球、ボクシング、体操、射撃の7競技で獲得したものだが、個人的にはサッカーでの活躍(女子が金、男子が銀)が印象に残った。
朝鮮側の応援団の派遣は実現しなかったが、韓国の市民団体による「南北合同応援団」が各競技会場で朝鮮選手たちを応援し、選手たちもそれに応えようと素晴らしいプレーを見せ、ともに勝利を祝うといった感動的な場面が多く見られた。北と南双方の選手が互いの健闘を称え合う光景(たとえば男女サッカーの「北南対決」や表彰式など)には北南間の政治的な対立を超えた清々しさを覚えた。朝鮮の女子サッカー代表選手が滞在している選手村の洗濯場を訪れ、そこで働くボランティアのメンバーに感謝の意を込め、金メダルの授賞式の際にもらった花束をプレゼントしたというエピソードにも心が洗われる気がした。
最終日の4日は朝鮮人民軍の総政治局長、朝鮮労働党中央委員会の書記ら最高位級の幹部一行が現地を電撃訪問するというサプライズで持ちきりとなった。これも、アジア大会の閉会式という場がなければ実現しなかっただろうと思う。
このエントリで「スポーツと政治」というややこしい問題に深入りする気はない。ただ、このような光景を見るたび、少々ナイーブかもしれないが、政治的な緊張を緩和し、民族、人種間の融和を演出する、そんなスポーツの肯定的な作用を信じたくなるのだ。(相)