福岡で第4回口頭弁論が開かれました
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九州における「無償化」裁判の第4回口頭弁論を取材するため、福岡に行ってきました。12月18日、福岡地裁小倉支部203号法廷で開かれた弁論には、傍聴席40人分に対して約160人が集まりました。
(裁判後に行われた報告集会の様子)
今回被告側からは、原告側弁護団の準備書面(1)と(2)に対する反論である、準備書面(2)が提出されました。前回までに原告側弁護団は、「不当な支配」論を持ち出した経緯や、他の外国人学校にも同様に「不当な支配」について検討したのかなどの求釈明を行っていましたが、これに対し被告側は従前の主張を繰り返すだけで、とくに目新しい主張はありませんでした。この点については後述します。
一方原告側弁護団は今回、準備書面(3)を提出。法廷で原告側代理人の中原昌孝弁護士が、朝鮮高校が「無償化」制度から排除されるまでの経緯から見ても規則ハ号の削除及び不指定が違憲・違法であると主張しました。
九州の「無償化」裁判では、前回以降、2つの懸案事項が浮上していました。
①前回の弁論で原告生徒の意見陳述が一方的に中止になった問題と、②今回以降の口頭弁論は、これまで使用してきた207号法廷(裁判所で最も広い法廷、87席)ではなく、203号法廷(40席)で行うとされた問題です。
まず、原告本人の意見陳述について。
9月25日に行われた第3回口頭弁論では、原告生徒による意見陳述を予定していたにも関わらず、突然裁判官から「意見陳述は予定していない」と言い渡されました。これについて弁護団は「原告の意見陳述を拒否するのは裁判官の横暴ではないか」と抗議を訴えました。しかし裁判所からは「被告からの意見もあるので」などと著しく中立性を欠くような発言がなされ、これは「無償化」からの除外だけでなく、司法の場でも朝鮮高校生徒を差別することであるとして、原告側関係者からは批判が噴出しました。
以後、原告側弁護団が意見陳述を実施するよう裁判所に申し入れを行い、「必ずしも意見陳述をさせないわけではない」という裁判所側の姿勢を確認。今後、原告本人の意見陳述は、裁判の節目節目(裁判官が交代したり、立証段階に入ったときなど)に行う方向となりました。
今回も前回同様、原告本人の意見陳述はかないませんでした。原告弁護団では、前回突然陳述できなかった生徒たちの思いを伝えるため、策を練り、前回の意見陳述書を「証拠」という形で提出。法廷では本人に代わって祖父江弘美、石井衆介両弁護士が意見陳述を行いました。そこには、意見陳述をさせてもらえなかったことに対する原告本人の戸惑いや憤りの気持ちも追加されていました。
次に法廷の問題について。
裁判所の説明によると、本来207号法廷は刑事裁判を行う法廷であり、203号法廷が民事部の法廷であるとのこと。今後は刑事裁判が入っていない場合であれば207号法廷で行うことも可能だとのことです。原告弁護団は、裁判所の状況を確認しながら、今後も広い法廷で行えるよう裁判所に求めていくとしています。
さて、改めて「不当な支配」の問題に対する被告側の主張について。
争点としては、①「不当な支配」の問題を考慮することが適切か否か、②考慮するとして、「不当な支配」の存在の有無について弁護団側と被告側のどちらに立証責任があるか、③「不当な支配」の中身、の3つに整理できます。
弁護団側は、①の「不当な支配」の問題について考慮すること自体がおかしいということに主眼を置いており、①②の議論が中心的。その先の③の議論についてはそこまで深まっていないそう。
とはいえ現段階でも国側の論理破綻は顕著で、例えばコリア国際学園やホライゾンジャパンインターナショナルスクールに対しても「不当な支配」があるか審査したのか?という弁護団の問いに対して、被告側は、朝鮮学校もクリアしている要件の証拠を挙げただけ。十分な説明がなされているとは到底言えません。
報告集会で服部弘昭弁護団長は、「被告側の主張は、いくら読んでも論理破綻している。論理破綻するようなことを国が言う、その裏には何があるのか、真相を明らかにしていきたい」と話していました。
今後弁護団では、朝鮮学校ができた経緯、在日朝鮮人社会の歴史なども含め、裁判所により朝鮮学校を知ってもらうための主張をしていくとしています。また九州では現在、各地の裁判における原告弁護団の論点を整理しており、他地域との比較の中で、漏れている論点などを追加していく予定です。
次回、第5回口頭弁論は2015年3月19日木曜日、午後2時から行われます。
長文になりましたが、最後に一つだけ。
裁判が闘われている各地では、さまざまな支援グッズが作られていますが、このたび九州でも第1弾ができました!
スマホクリーナーです。他の地域のグッズとの差別化を図ったそうです。「無償化」実現オリジナルロゴマークと、在日朝鮮学生美術展で特別金賞を受賞した九州中高生徒の作品がプリントされています。裁判後に行われた報告集会の場で女子生徒たちが販売していました。
私も一つ購入。「コマッスンニダ!」と、丁寧にグッズを手渡してくれた女の子たちのキラキラした笑顔に、こちらの頬も緩みました。
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