朝鮮速度
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最近、朝鮮民主主義人民共和国の記録映画を見る機会があった。昨年2014年の朝鮮の発展の様子を振り返る内容のものだ。話を聞いたり文章で読むだけではわからないが、映像で見るとやはり説得力がある。なかなか面白く、少なくない驚きもあった。
映し出されるのは、新しくできた街並みや高層ビル、保育所や遊戯施設、工場や農場などである。新しく作られた科学者通りや金策工業総合大学教職員住宅のツインタワー、オートメーション化された工場などが次々と紹介されていたが、設備の素晴らしさ、洗練されたデザイン、高度な技術、生み出される高品質な製品…などは本当にこちらの予想を上回るものだった。
私が朝鮮に行ったのは5年半前になるが、この間の平壌を中心とした朝鮮の変化は思っていた以上のものがある。
朝鮮のこの変化は、朝鮮が以前から2012年の金日成主席生誕100年に向けて取り組んできた、その成果もあるが、新しい若いリーダーのもとで、改革が進み人々の意識が変わっているという側面が大きいようだ。企業における「企業責任管理制」、農業における「圃田担当責任制」など新しい管理制度が導入されたのがその一例だろう。建物のような目に見えるものだけでなく、朝鮮の産業全体が活気付いて変革されているという感じだ。
平壌にこんな施設ができたとか新しい管理制度が導入されたというのは知識としては知っているが、それを映像で見るとやはり認識が違ってくるし、実際に朝鮮に行って自分で体験すると肌で理解できるのであろう。
ところで、映画の中で何度も出てきたのが「朝鮮速度」という言葉。現在、朝鮮で掲げられているスローガンである。朝鮮ではこのスローガンのもとに、経済はじめ社会全体が躍動し発展しているのだ。
朝鮮ではこれまで、「千里馬速度」「平壌速度」「80年代速度」「熙川速度」「馬息嶺速度」など、いろんな「速度」をつけたスローガンが作られてきた。しかし、最初に「朝鮮速度」という言葉を聞いたときから心配していることがある。
「朝鮮速度」というスローガンを使ってしまうと、究極というか、すべてを包括しているというか、次の「○○速度」の「○○」にはどんな言葉を入れればいいの、と思ってしまうのだ。
ともかく、はやく朝鮮訪問を実現させて、「朝鮮速度」の現実をぜひこの目で見たいものだ。できれば冬に訪ねて、馬息嶺スキー場でスキーを楽しみたいと思っている。(k)